2017.02.17 14:30

好きにならずにいられない

太めの主人公フーシが運命的な恋に落ちる。英語タイトルは「VIRGIN MOUNTAIN」
太めの主人公フーシが運命的な恋に落ちる。英語タイトルは「VIRGIN MOUNTAIN」
いい恋愛とは何か 女性経験ゼロ中年男 自ら知る新たな一歩

 アイスランドから氷が溶けるほど、心温まる映画が届いた。女性経験ゼロの43歳独身男が運命の恋をする。昨年ヒットしたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」も“中年童貞”の恋愛を描いた。大きく違うのは主人公が100キロ超、ひげもじゃ、長髪でおでこがはげ上がった落ち武者スタイル、恋愛映画であまり主人公になりそうにないルックスということだ。

 空港の荷物係として働くフーシは母親と2人暮らし。趣味はジオラマ作り。ラジオ番組にヘビメタ曲をリクエストするのが楽しみの一つ。どんなことが起きても表情を変えず、愚痴もこぼさない。そんな性格が災いしてか、同じアパートに越してきた父子家庭の少女から一方的に懐かれ、騒動に巻き込まれる。

 母親は独身を貫きそうな息子に、女性と出会う機会をつくってほしいとダンス教室に行かせる。フーシはそこである女性と出会う。

 不思議だ。フーシの心根が優しいと分かると、たぷたぷのおなか、コロコロした体形がかわいらしく思えてくる。見た目がいいだけの男にさんざん振り回された女性はフーシのような人を選んでほしい。頼りないかもしれないが、ひとたび恋愛スイッチが入ると献身的に支えてくれる。仕事の代役まで果たしてくれるほどだ。相手が負担に感じていると思うと、それ以上踏み込まない冷静さもある。

 フーシの恋愛が順調にいきそうになると慌てだすのは母親。頼り切っていた息子が自分の元を離れるとなると自分の老後が心配になってくる。フーシが早く家を出ていれば母親もそこまで思わなかったかもしれない。

 この恋の結末、ロマンチックコメディーにありがちなものではない。だが、心にじんわりと染み入った。いい恋愛とは何だろう。自分の新たな面に気付かされたり、前向きな一歩を踏み出させてくれるものだと、あらためて気付かせてくれる。

 高知市高須の県立美術館ホールで21日午後1時半、3時半、5時半、7時半から。1300円(当日1500円)、シニア・障害者1300円。高校・大学生800円。高新プレイガイドなどで販売中。シネマ・サンライズ主催。

  (村瀬佐保)

カテゴリー: 文化・芸能シネスポット文化

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