2017.02.17 08:15

本離れに負けない 高知県で奮闘する古本屋12店が活路模索

組合最古参の井上書店(高知市帯屋町2丁目)
組合最古参の井上書店(高知市帯屋町2丁目)
ネット販売主力の店も
 電子書籍の普及を背景に書店の経営が厳しさを増す中、高知県内で古本を扱う同業者が集う「高知県古書籍商組合」(森岡たかし組合長、12店加盟)の店舗が、ひっそりと営業を続けている。最近はインターネット販売を主力にする店舗もあり、営業形態はさまざま。本を多くの人の手に届けようと奮闘している。

 茶色に色あせた背表紙が並ぶ。郷土史家の平尾道雄さんや、土佐民俗学の基礎を築いた桂井和雄さん…。店の入り口近くの棚には、高知の歴史をひもといてきた人々の著作が並ぶ。

 「植木枝盛とか寺田寅彦とか。以前ほどではないけど、郷土関連の本はよく売れますね」

 そう話すのは高知市帯屋町2丁目の「井上書店」店主、井上真一さん(74)だ。創業は組合の中で最も古い1940年。父の故正理(まさみち)さんの跡を継ぎ、四十数年になる。

▼終戦直後は70店
 高知県古書籍商組合の歴史をまとめた公式資料はないが、古書店は戦前から各地にあった。

 戦後の1946年7月18日付の高知新聞には「ながい間、解散状態だった高知古書籍商組合は最近急増した古本屋さんを統合。高知県古書籍商組合と改称し、再発足した」との記事があり、これが現在の組合の母体とみられる。

 1984年10月発行のタウン誌「月刊土佐」の特集記事によると、終戦後の3年間は高知県内に約70店の古書店があったという。当時から営業を続けているのは、井上書店のみだ。

 井上さんが父母から伝え聞いた話によると、戦後間もなくのころは、その日その日を食べていくため、古書店を開いて自身の蔵書を売る人が相次いだ。

 店は掘っ立て小屋だったり、露店だったり。井上さんは「娯楽が少なかった時代ですからね。活字に飢えた人が多く、組合以外の古本屋も多かった。長続きせずに、すぐに店をしまう例も多かったようです」と話す。

▼返品せず販売
「うずまき舎」の村上千世さん。山里でこだわりの本を並べる(香美市香北町)
「うずまき舎」の村上千世さん。山里でこだわりの本を並べる(香美市香北町)
 一時期は4店ほどにまで激減した高知県古書籍商組合だが、ここ7年の間に若手の加盟が相次いだ。その一つが、香美市香北町中谷の「うずまき舎」だ。

 店主は神戸市から移住してきた村上千世さん(42)。標高400メートルの山里にある小さな店は、2017年3月で開店から丸3年になる。

 小説や絵本、写真集のほか、食や整体、田舎暮らしなど生活に身近な事柄の本を主に扱っている。8畳ほどの店舗スペースに並ぶのは、7割が新刊本だ。

 村上さんは「私の興味が向くものばかり。個人的な本棚に近いですね」と笑う。

 一般的に、書店が新刊本を売る場合は取次会社から本を仕入れ、一定期間に売れなければ返品する委託販売か、取次会社から本を買い取る形の2通りがある。

 書店にとって、委託販売は返品のためのコストや手間がかかる。一方で、買い取りも資金力の乏しい小規模店舗にとっては不利なシステムだ。

 そこで村上さんが模索しているのは、出版社と個別に交渉し、一定期間売れなくても本を返品しなくてもよい、新しい委託販売の形。既にこの方法で十数社と契約をしている。

 村上さんは「本は出版社や著者が苦労して作ったもの。すぐには売れなくても、いつか誰かに興味を持ってもらったり、その人にとって新しい発見になったりすればいい。そんな思いで品ぞろえをしています」と、一冊一冊への思いを話す。

インターネット販売を主に扱う「ジェット書店」の瀬川晃一さん(高知市高須2丁目)
インターネット販売を主に扱う「ジェット書店」の瀬川晃一さん(高知市高須2丁目)
▼1円単位で出品
 高知市高須2丁目の国道32号に近い路地の先に、看板のない古本屋「ジェット書店」がある。書棚の奥にある作業棚には、梱包(こんぽう)された書籍やCDがうずたかく積まれていた。

「ジェット書店」の書庫。ネットで出品中の書籍やDVDなどが整然と並ぶ(高知市高須2丁目)
「ジェット書店」の書庫。ネットで出品中の書籍やDVDなどが整然と並ぶ(高知市高須2丁目)
 店主の瀬川晃一さん(42)は「売り上げの9割5分はネット販売。店には常連さんが時々来るくらいですね」。

 もともと、個人で手持ちの本をネット販売していた経験もあり、2013年からなりわいとして古書の販売を始めた。...


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カテゴリー: 文化・芸能


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