2017.02.16 08:00

【県の予算案】政策効果 実感できる形を

 県が2017年度の一般会計当初予算案を発表した。
 総額は前年度比0・7%減の4591億円。尾﨑知事が就任した直後の08年度以来のマイナスだ。
 ただ、県は経済対策を盛り込んだ国の16年度補正予算を受け、実質的に17年度に執行される分と一体化させ、「15カ月予算」として編成したとしている。
 「15カ月」でみれば、前年度比2・0%増。必要な事業を過度に抑えることなく積み上げたとして、県は9年連続の積極型予算である点を強調する。知事は今年で就任10年、3期目の折り返しに当たる。県勢浮揚への姿勢を示した形だ。
 とはいえ、編成作業の実情は厳しく、苦心しながら賄った形跡もうかがえる。
 歳入のうち、自由に使える一般財源がやや減少した。法人事業税など県税収入の増加を見込む一方、地方交付税は総額の削減に伴い、前年度を下回る。有利な地方創生関連の交付金を活用して補ったが、財源としては一時的なものだ。
 歳出は、事業の見直しなどに努めたものの、財源不足額は前年度から膨らんだ。貯金である財政調整基金と、借金である県債の二つの残高をにらんだ結果、全国的にみて水準が低い県債を発行する道を選んだ。
 国の動向に影響を受ける状況は変わらない。堅実な財政運営への努力が求められる。
 事業の主軸は、経済の活性化▽健康長寿県づくり▽教育充実と子育て支援―など「五つの基本政策」だ。新味の乏しさは否めないものの、財源が限られる中、将来に向け必要性の高い事業に重点化するのは、合理的といえよう。
 急がれる南海トラフ地震対策は、津波避難タワーといったハード面の整備がほぼ一段落したのを受け、事業費が減少した。今後はソフト面に比重を移すことになろうが、啓発には続けて力を入れたい。
 経済活性化では、第3期に入った産業振興計画に沿って、県内産品の輸出をバックアップする体制を強化し、一方で各産業で事業戦略作りを徹底させる。中小企業が多い県内で輸出への意欲をどう引き出すか。県の力が問われよう。
 健康長寿県づくりの中では「こども食堂」の開設・運営を補助する事業が目を引く。県内では有志によって開設が相次いでいるが、県が新たに基金を設け、浄財も募る。厳しい状況にある子どもたちへの援助を県はこれまで重視してきたが、官民で意識を広げたい考えだ。
 知事は年頭訓示で、具体的な成果を出すことにこだわると強調した。公費を投じてきた結果、上向きつつある指標も一部で出てきた。財源の制約は付いて回ろうが、政策の効果を県民がしっかり実感できるよう、さらなる取り組みを求めたい。
 事業の内容や方向を巡る徹底した検証は欠かせない。県議会はあらゆる角度から厳しくチェックし、論議する必要がある。
カテゴリー: 社説

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