2017.01.23 08:15

高知新港で大型船から外国人客の失踪相次ぐ 2016年秋から4人

豪華客船で高知を訪れた外国人観光客ら(高知市の高知新港=2016年撮影、写真と本文は関係ありません) 
豪華客船で高知を訪れた外国人観光客ら(高知市の高知新港=2016年撮影、写真と本文は関係ありません) 
 豪華客船の相次ぐ来港でにぎわう高知新港(高知市仁井田)で、2016年11月と2017年1月に寄港した大型クルーズ船から外国人客計4人が失踪していたことが1月22日までに分かった。政府のインバウンド(訪日客)推進策を背景に客船で入国する観光客が増える中、失踪や不法残留は全国で続発。高知新港では今後も客船の寄港が増加する見込みで、法務省入国管理局や高知県警が警戒を強めている。

 高松入国管理局などによると、2016年11月の寄港時に1人、2017年1月にも3人の外国人が高知新港からツアーなどに参加し、出港時間までに戻らなかったという。

 高松入国管理局は失踪者の国籍や年齢などを明らかにしていないが、いずれの客船も中国を出港し、高知新港が国内最初の寄港先だった。高知県警が失踪者を捜しているものの、現在も行方は分かっていない。

 外国客船の誘致を進める高知県港湾振興課の職員は、失踪者の発生に表情を曇らせる。

 「不法就労目当てだとしても、関西圏など都市部と離れているので可能性は低いと思っていたが…。ついに高知でも起きたか」

■ビザ免除
 法務省によると、客船を利用した訪日客のうち、全国で2015年に21人、2016年に36人が失踪した。不法残留容疑での摘発や出頭で退去強制処分となったのは36人。残る21人は現在も行方が分かっていないという。

 失踪者の続発は、政府のインバウンド対策が影響している可能性がある。

 政府は、2015年1月から外国客船の入国手続きを簡素化。国の指定を受けた客船は、運航会社が乗客の「船舶観光上陸許可」を一括申請できるようにした。乗客はそれまで原則として義務付けられていた顔写真の撮影やビザの取得が不要になり、簡単に日本に渡航できるようになった。

 法務省は「現時点で簡素化の影響があるかどうかは判断しかねる。国内の不法残留者は6万人以上おり、全体で見ると客船での不法入国者数はわずかだ」と強調する。

 ただ、客船で入国後に不法残留し、退去処分となった外国人の取り調べでは、「半分程度の人が最初から就労目的だったと認めた」と法務省。高知県外では不法入国を手引きするブローカーが絡んだとみられる事案もあった。

■指定解除も
 高知県では、高知新港に四国で唯一13万トン以上の船が入港できる岸壁が整備された2014年を境に、大型客船の寄港が急増した。2016年度に高知県内に寄港した客船の外国人乗客数は1月時点で約5万4千人に上り、2015年度の約2600人の20倍を既に超えている。

 2017年度はさらに増える見込みで、高知県は2018年までに新港に入国管理ターミナルを新設し、受け入れ体制の充実を図る考えだ。

 高知県港湾振興課は「高知県は観光客をお迎えする立場。失踪の防止策を取ることは難しい」と困惑気味で、「国の入国審査が適切に行われるような環境を整えたい」と話す。

 高知新港に限らず、全国で客船の増加に伴って失踪者がさらに増えかねない状況に、法務省は「船舶観光上陸許可を申請する運航会社側で再発防止が図られない場合は、国の指定を外すことも検討する」としている。

カテゴリー: 社会主要高知中央

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