2016.12.26 08:05

高知県の柏島で宝石サンゴの移植成功 資源保護に大きな一歩

生残が確認されたアカサンゴ移植片 (黒潮生物研究所提供)
生残が確認されたアカサンゴ移植片 (黒潮生物研究所提供)
 宝石サンゴの増殖手法を研究している高知県幡多郡大月町の黒潮生物研究所(中地シュウ所長)は、2016年1~7月に大月町柏島沖で行った移植放流試験が成功し「増殖は技術的に可能」とする研究結果をまとめた。12月、那覇市で開かれた日本サンゴ礁学会で発表した。宝石サンゴの放流試験は世界的にほとんど例がなく、資源保護に役立つと関係者の期待が高まっている。

海底に沈めた魚礁の引き上げ作業 (7月23日、大月町柏島沖)
海底に沈めた魚礁の引き上げ作業 (7月23日、大月町柏島沖)
 放流試験はサンゴ漁師や加工業者らでつくる高知県サンゴ漁業連絡協議会(浦尻和伸会長)が、黒潮生物研究所に委託。高知県や海上保安庁の許可を得て実施した。

 高知県の土佐清水市沖で採取したアカサンゴから、1・3~3・3センチの移植片を五つ作製。コンクリート製魚礁に水中接着剤で固定して、2016年1月28日に柏島沖の海底(水深100~105メートル)に沈めた。

 7月23日に移植片を引き上げたところ、いずれも生きた状態で残っており、一つが破損していた以外は良好な状態だった。大きさの変化はなかったが、三つは組織の成長が認められた。

 中地所長は「試験は始まったばかりだがサンゴが増える期待は持て、画期的な技術になる可能性がある。漁業者に育てていく意識が深まるきっかけになれば」としている。

 黒潮生物研究所は7月26日に2回目の放流試験を開始。半年~3年後に引き上げ、データを蓄積する。

 浦尻会長は「サンゴが生きていた結果は大きい。資源管理は重要で、時間はかかってもサンゴを育て、将来につなげていきたい」と意欲を見せている。

 加工関係者らでつくる宝石珊瑚保護育成協議会(高知市)の吉本憲充理事長も「歴史的な一歩。持続的な資源維持ができれば、ワシントン条約(による取引規制の動き)への対策にもなる」と歓迎している。

 宝石サンゴの移植は1910~1920年代に高知県内で行われた記録が残っているが、技術の確立には至らなかった。

カテゴリー: 主要環境・科学幡多


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