2016.09.18 08:10

小社会 「誰も口にせぬ者はないが、誰も見たものはない。…

 「誰も口にせぬ者はないが、誰も見たものはない。誰も聞いた事はあるが、誰も遇(あ)った者がない。大和魂はそれ天狗(てんぐ)の類(たぐい)か」。夏目漱石の「吾輩は猫である」で主人公の先生が作った短文の一節だ。背景に日露戦争の世相がある。

 漱石は日本人の関心が戦争一色に染まっていく様子を、皮肉を込めて描いた。「他に頼るもののない小国のよりどころとして、大和魂にすがろうとしていた」とき(阿部謹也「『世間』とは何か」)である。

 この大和魂の神話は不幸にして第2次世界大戦でも繰り返された。為政者が精神論を振りかざし、民衆もそれに酔う。集団主義や同調圧力のなせる業だろう。

 1931年9月18日に起きた満州事変の際も、同じような民衆の熱狂があった。中国北東部・柳条湖の南満州鉄道の線路爆発は日本軍の謀略だった。だが日本はこれを中国軍の仕業と偽り、中国軍を攻撃。全満州を占領し、かいらい国家・満州国を樹立する。

 日本は満州事変をきっかけに日中戦争、太平洋戦争へと突き進んだ。世界を相手に戦い、滅びる、歴史の節目だったといえる。国民が政府の偽りの発表を信じた背景には、新聞やラジオがこぞって「自衛のための奮起」をあおった事実がある。責任を猛省する。

 異常な出来事があっても安易に周囲に同調しない。そのための「個人」に揺るぎはないか。事変85年のきょう、足元を見つめ直してみるのも有意義だろう。


9月18日のこよみ。
旧暦の8月18日に当たります。みずのと う 九紫 先勝。
日の出は5時51分、日の入りは18時08分。
月の出は19時18分、月の入りは7時04分、月齢は16.7です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で0時32分、潮位42センチと、12時51分、潮位35センチです。
満潮は6時39分、潮位211センチと、19時03分、潮位209センチです。

9月19日のこよみ。
旧暦の8月19日に当たります。きのえ たつ 八白 友引。
日の出は5時52分、日の入りは18時07分。
月の出は20時01分、月の入りは8時12分、月齢は17.7です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で1時12分、潮位35センチと、13時30分、潮位48センチです。
満潮は7時24分、潮位208センチと、19時36分、潮位205センチです。

カテゴリー: 小社会


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