2016.07.30 14:35

高知県警のはちきんポリス活躍中 高知市に全員女性の交番誕生

 高知県警の女性警察官の数がじわり増加中だ。2016年春には女性警察官の交番も誕生し、愛称は「はちきん交番」に「梅っこ交番」―なのだとか。マッチョなイメージの警察で女性の出番が増えている。

 高知県警の女性警官数は現在133人。定数1604人の8・3%を占めて、10年前の3・9%から倍増した。1992年度に初めて1人を採用してから年々増やし、2016年春は過去最高の22人を採用した。

 女性警察官の増加は全国的な傾向。ストーカーやDV、性犯罪など、男性だらけの組織では対応しきれない事案が増えてきたからだ。

 例えば、高知県内の2015年のストーカー行為の認知件数は106件、DVは178件で、それぞれ10年前の1・3倍と2・2倍に当たる。

 高知県警は女性の採用を増やすべく、2004年度まで「155センチ以上」としてきた身長制限を153センチ、148センチと徐々に下げ、2014年度に撤廃した。

 今では、産前・産後休暇や育児休暇、育児者の時短勤務はもちろん、休暇中の人にはスムーズな復帰のため、業務内容の変更点を記した「育児通信」も定期的に送付する。復帰の1週間前から職場見学もできるという。

仕事に使う器具の使い方を教える吉田麻美所長=左(高知署高知駅前交番)
仕事に使う器具の使い方を教える吉田麻美所長=左(高知署高知駅前交番)
  ■大丈夫?

 女性だけの交番は4月にお目見えした。

 高知市新本町1丁目のJR高知駅の北側に立つ高知署・高知駅前交番。勤務する6人全員が女性となり、「はちきん交番」という愛称がついた。

 任官2~14年目の女性ばかり。ほんのり日焼け止めクリームの香りが漂う交番で、所長の吉田麻美警部補(33)が駐車禁止の摘発器具の使い方を若手に指導していた。

 「『女性の姿が見えたから、中に入りやすかった』と言われたことがあります」。吉田所長は開所4カ月目の手応えを話す。

 これに続けとばかりに、高知南署も5月に高知市梅ノ辻の梅ノ辻交番を「梅っこ交番」として、所長を除く7人を女性にした。

 いずれも鍛えられた女性たちだが、凶悪事件の発生時など「女性で大丈夫?」と住民は不安も持ちそうだ。高知県警によると、両交番は拠点警察署から最も近く、110番通報があれば署から男性警察官たちが現場に急行する手はずだという。

 高知南署の西村裕次署長は、「優秀な女性を配置している。周囲からのフォローも十分できる」とする。

女性だけで仲良くランチ(高知南署梅ノ辻交番)
女性だけで仲良くランチ(高知南署梅ノ辻交番)
  ■男社会の中で

 まぎれもなく男社会の高知県警。一方で「女性の活躍」の実践が問われる公的機関でもある。両交番は、そんな時代の要請にもこたえた「活躍の場」という側面もありそうだ。

 ちなみに、はちきん交番の女性は6人中3人、梅っこ交番は7人中4人が子育て中。つまり現役ママさん。

 計4年半の産休・育休から復帰した「梅っこ」の久保愛子巡査(30)には4歳と2歳の女児がいる。「子どもが急に熱を出して帰らないかんときも、周りが女性だと相談しやすい」と率直だ。

 6歳と3歳の子どもを育てる「梅っこ」の川村真由巡査部長(36)も「民間企業と比べて、高知県警は女性が働きやすい」と話す。

  ■役割分担

 警察官には容疑者摘発のほか、災害派遣や暴動鎮圧で「理屈抜きの力」も試される。捜査で何日も家に帰れない刑事もいるし、機動隊が身に着ける装備は時に10キロにもなる。

 これら業務上の制約から、高知県警警察官の女性比8・3%は、高知県の知事部局の31・7%に比べると低い。

 「はちきん交番」の吉田所長は、2016年春まで高知県警捜査1課で刑事を経験した。その上で男女の違いを説明する。

 「事件発生の際、男性は犯人を捕まえる方に意識を集中させる。女性は被害者がどうすれば心を落ち着かせるかを考えますね。要はバランス、役割分担」

 吉田和彦警務部長も「性犯罪など男性では被害女性のケアで行き届かないところもある。『腕力』が必要な現場ばかりではないので、女性活躍の場をつくるための意識改革も進めたい」と語る。

 高知県警の中長期的な採用計画によると、女性警察官の割合は10%が目標だという。さらに女性の存在感が増すかもしれない。

カテゴリー: 主要社会高知中央


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