2016.05.18 14:30

「17日に南海トラフ地震」デマに高知県内の小中学生も動揺

高知県内の専門家 「根拠ない」「予知は困難」
インターネット上に乱立する書き込み
インターネット上に乱立する書き込み

 「5月17日に南海トラフ地震が来る」とのうわさがインターネット上で拡散し、高知県内では16日から17日にかけ、小中学生が校内で不安がったり、営業を自粛するホテルが出たりする騒ぎがあった。専門家は「全く根拠のない話。地震予知はできない」と一蹴。「災害にデマはつきもの。子どもの気持ちを鎮めるためにも、ちゃんとした説明と地震への備えが必要だ」と指摘する識者もいる。

 インターネット掲示板への書き込みが発端。「2062年から来た未来人」と名乗る人物が「南海トラフについては備えるべきだ」と記し、他のユーザーが別の書き込みと総合して「5月17日に南海地震が来る」と解釈したようだ。書き込みはその後、無料通信アプリ「LINE」や口コミで高知県内の小中学生に広がった。

 高知市内の小学校では「17日の14時40分に起こる」とうわさになり、ホームルームの時間中に「もうすぐやね」との言葉が飛び交い始めた。1分前からはカウントダウンが始まり、机の下に隠れて連絡帳を書く児童も現れた。担任が「地震は起こらんき、静かにせえ」とたしなめる場面もあったという。

 高知市内の中学2年の女子生徒は、16日の登校中に友人からうわさを聞いた。その時は「まさか」と信じなかったが、学校でもほとんどの子が同じ話で盛り上がり、「熊本地震も東日本大震災も当てた人らしい」「朝の9時ごろ来る」と情報が細かくなっていくにつれ「本当やろうかと怖くなった」という。

 別の小学校の教諭は、クラスの3年生の児童らから「本当に来るが」と真顔で聞かれ、帰宅後に5年生の娘からも同じことを聞かれた。他にも心配して勤務中の父親に電話をかけたり、「17日は学校を休む」などと家で親に話したりする小学生もいたという。
うわさを受けて営業を自粛したホテル(高知市長浜)
うわさを受けて営業を自粛したホテル(高知市長浜)

 高知市長浜の海沿いのホテルでは、16日午後6時から18日正午まで営業を自粛した。人づてにうわさを聞き、ホテル入り口に張り紙を出した支配人の女性は「海辺にあるので、お客様に万が一のことがあっては大変なので」と話した。ライフジャケット10着も発注し、今後は全客室に置く予定という。

 熊本地震の発生後、関係機関にも「地震が来るとのうわさは本当か」といった問い合わせが増え、NHKのツイッターの「生活・防災」アカウントは16日に「日時と場所を特定した地震を予知する情報、しかも公的機関以外の情報は『デマ』と考えられます」と記した。

 現在の観測技術では地震予知は不可能とされており、高知地方気象台の荒谷博台長は「東海地震の予知が唯一可能性があるだけで、南海トラフなどほかの地震は極めて困難」。高知大学防災推進センターの岡村眞・特任教授は「デマは根拠がない。熊本地震と南海トラフ地震では、メカニズムも起きる場所も違う」と話す。

 防災教育が専門の大槻知史・高知大学准教授は「災害にデマはつきものだが、デマがあろうとなかろうと、今この瞬間に地震が起こってもおかしくない。身の回りの安全性を高めれば、デマが流れても不安を感じにくくなる。日頃の備えこそが大切」と指摘した。

カテゴリー: 環境・科学社会

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