2018.01.12 08:15

高知市で西敷地公募の選定 透明性確保へ他県は公開も

現在は仮設の市民図書館が立つ「西敷地」。高知市は12日の2次審査後に「優先交渉権者」を決める(高知市追手筋2丁目)
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現在は仮設の市民図書館が立つ「西敷地」。高知市は12日の2次審査後に「優先交渉権者」を決める(高知市追手筋2丁目) 2)
 高知県と高知市による新図書館複合施設「オーテピア」西側の市有地「西敷地」(追手筋2丁目)について、利活用案を絞り込む2次審査が12日に行われる。県都のど真ん中にある公有地の行方は、中心市街地の在り方だけでなく、民意を反映したまちづくりの観点からも関心が高まり、選定手続きを非公開で進めている市には批判の目も向く。市が採用している「公募型プロポーザル」という手法を巡っては、透明性確保へ公開している自治体もある。

 市は、西敷地の利活用案を民間事業者から募り、年間1600万円の賃料で最長50年貸す方針。事業者からは3案が寄せられているが、「公平公正な審査」を理由に提案内容や選定過程を公開していない。「働き掛けを防ぐため」として、選定委員会の委員名も明らかにしていない。

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 市が採っている公募型プロポーザルは、国や自治体が施設を建設する際の設計や運営業務などを委託する民間業者を選定する手法。価格の低さを競い、事業費抑制を図る「競争入札」とは異なり、発注者が抱える課題を建築設計や企画立案でいかに解消するかが提案され、提案者の創造力や技術力を点数評価して選定する。

 施設設計で年間約3千件実施している国土交通省は、選定過程を公開していない。大臣官房技術調査課は「アイデアやデザインは応募事業者のもの。公表すれば模倣される恐れもある」とし、選定後に応募者ごとの点数を公表することで透明性は確保できるとする。

 ただ、過程を公開すべきか否かの明確な基準はなく、判断は実施主体に委ねられる。

 仙台市は昨年9月、「青葉山公園(仮称)公園センター等基本設計業務」の公募型プロポーザルで、公開プレゼンテーションを実施。有識者と市職員による審査員名も公表した。

 公園内の3ヘクタールに歴史や文化、観光情報を発信できる施設や広場を整備する計画。プレゼンでは、業者名は伏せつつ応募した6者がそれぞれの提案内容をアピールし、市民ら100人が審査の様子を見守ったという。

 仙台市の担当課は「青葉山公園は市を象徴する大事な場所で、『そこに変なものができたら嫌』という市民の不安を解消したかった。オープンにすれば、市民の盛り上がりや期待感も高まる」とし、企業のノウハウ流出の懸念には「どこまで説明するかは企業次第。『情報が盗まれても、まねできない技術がうちにはある』ぐらいの自信ある提案を求めている」と説明する。

 長崎市もプレゼンや審査員名を公開している。長崎市は昨年5月、市新庁舎設計の公開プレゼンを実施。4者が耐震機能の強化方法や利用しやすい動線設計など完成イメージを説明し、市民ら約150人が耳を傾けた。

 長崎市の担当室は公開理由を「透明性を図り、庁舎を使う市民に関心を持ってほしいから」と説明。審査員名の公表については「誰が審査しているのかを明らかにすることで、審査の信頼性が高まる。審査員に働き掛けをした業者は失格にする決まりだ」という。

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 翻って西敷地。高知市商工振興課の谷沿新也課長は「公募型プロポーザルの選定過程を公開している自治体があることは把握していたが、企業のアイデアやノウハウを守るために非公開を決めた。非公開方針に変わりはない」。

 高知市は12日の2次審査で各提案者を点数評価し、「最高得点者」を決定。岡﨑誠也市長の決裁を経て「優先交渉権者」を1月中に決めるが、どのような利活用策になるのか、現状では具体的な提案内容が分かるのは市議会3月定例会になる。 

【西敷地問題 経過と論点】
 高知市の「西敷地」問題の経過や論点を改めて振り返る。

■立地
 追手筋に面した市有地約2500平方メートル。7月開館予定の新図書館複合施設の西側にある。ひろめ市場や県立高知城歴史博物館などに近く「市中心部に残された最後の公有地」ともいわれる。

■検討
 高知市は2016年2月、民間有識者らが西敷地の利活用を協議する検討委員会を設置。検討委は昨年2月、岡﨑誠也市長へ報告書を提出した。

 報告書は市民アンケートなどを基に、西敷地にふさわしい11機能を整理。「広場」「家族で訪れ、子どもが安全に遊べる」「観光客のリピーターを増やせる」「日曜市やよさこい祭りを充実、発展させる」の4機能を上位に挙げた。

■条件
 市は4機能のうち2機能以上を盛り込むことを必須条件に、利活用案を公募している。選定手法には「公募型プロポーザル」を採用し、市が設置した選定委員会が応募のあった3事業者の案を点数評価し、最高得点者(優先交渉権者)を決定する。

■要望
 西敷地を巡っては、高度利用や広場にすることを求める要望が相次いでいる。

 土佐経済同友会は昨年1月、岡﨑市長と市議会に提言書を提出。14年に提言した高知大学の地域協働学部誘致などを盛り込んだ「産学官民による『中心市街地キャンパス化構想』」を踏まえ、交流人口増加や移住促進につながる「高度な利活用」を求めた。

 一方、市民団体「高知まちなか広場プロジェクト」は昨年12月、6250人分の署名を添えた岡﨑市長宛ての請願書を提出。西敷地にマンションなどの箱物を建てず「広場」にするよう求めた。

■批判
 選定過程を非公開にしている市の姿勢に対し、「ブラックボックス」との批判が高まる中、2017年12月、応募3案のうち1案の一部が表面化した。民間事業者がビルを建設し、その一部フロアを高知大学が40年間賃借し、地域協働学部の研究室や講義室などが入る構想。市が言う「公平公正」の前提が崩れたとの見方もある。

■今後
 3案について市は1月下旬、二つ以上を盛り込むこととされている機能と点数だけをWebサイトで公表。選定委が選んだ具体的な事業案は市議会3月定例会で報告し、4月ごろに市民向けの説明会を開く。その後、事業者と基本協定を結び、仮設図書館の撤去が完了する2018年12月をめどに契約する。

カテゴリー: 社会高知中央


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