2018.01.02 08:20

よさこい65年、発祥の地・高知市で原点回帰へ

 国内200カ所以上、世界26カ国地域に広がり続ける、よさこい祭り。65回目を迎える今年は、全国的なネットワークによる、東京五輪・パラリンピック開閉会式などでの演舞を目指す動きが加速、日本を代表する祭りとして真価が問われる1年となる。そうした中、発祥の地・高知市では原点に回帰し、よさこい文化を保存、伝承する機運が高まっている。市民が支えた「祭り」とは。草創期に携わった人らから寄せられた写真などで振り返る。


「祭り」で振興を
 よさこい祭りは、1954(昭和29)年、戦後の復興と市民の健康・繁栄を祈り、高知商工会議所などでつくる「よさこい祭振興会」が主催する形で始まった。なぜ、この時期によさこいが始まったのか。背景には度重なる不幸な出来事があった。終戦を迎えた45年、高知市の市街地は米軍の爆撃でそのほとんどが廃虚と化し、翌年には南海地震が県土全域を襲った。
 
 そんな市民を勇気づけたのが「祭り」だった。47年には復興祭が、50年には南国高知産業大博覧会が開催され、市の都市計画がほぼ完成した頃、不景気風を吹き飛ばす「市民祭」として誕生したのが、よさこい祭りだった。
 
草創期のよさこい祭り。「町衆」として中心的な役割を担った浜口八郎さん(中央)=浜口賀世さん提供
草創期のよさこい祭り。「町衆」として中心的な役割を担った浜口八郎さん(中央)=浜口賀世さん提供
 その中心にいたのが、当時料亭を営み、商工会議所観光部会に籍を置いていた浜口八郎さん。何度となくお隣徳島に足を運び「阿波おどりに負けない祭りを」と、振り付けは日本舞踊の花柳、若柳、藤間、坂東、山村の5流派の師匠に、曲は知人で作曲家の武政英策さんに依頼した。素手で踊る阿波おどりに対抗するため、鳴子を手に持つ踊りが完成。鳴子は、後によさこいの定番となる「朱色の鳴子」を考案した漆器店の安芸弥太郎さんらが手掛けた。
 
第1回大会。正調踊りの原点をつくった日本舞踊5流派の一つ、若柳流の踊り子連=若柳由喜満さん提供
第1回大会。正調踊りの原点をつくった日本舞踊5流派の一つ、若柳流の踊り子連=若柳由喜満さん提供
初回は21団体750人
 祭りは、過去40年間のデータを集め、最も雨の少ない8月10、11の両日に開催。本部競演審査場は、高知城追手門内の特設舞台、市内の競演場は7カ所とし、21団体約750人の踊り子が参加した。64回大会まで連続して出場している帯屋町、上町(本丁筋)などのチームも名を連ね、郷土芸能の披露や合成酒ただ飲み大会なども開催された。
 
子どもの頃からずっとよさこいを見てきた。帯屋町筋で帽子店を営む沢村朝子さん=沢村さん提供
子どもの頃からずっとよさこいを見てきた。帯屋町筋で帽子店を営む沢村朝子さん=沢村さん提供
 その後、よさこいは曲も衣装も振り付けも、より自由で多様化したものへと進化、全国各地に広がっていった。
 

草創期の鳴子、写真、エピソードを  高知市が今春から募集
 高知市は、よさこい祭振興会などと協力し、祭り草創期のエピソード、鳴子、衣装、写真、楽譜などを今春から公募する準備を進めている。
 
 市観光振興課によると、開館5年を迎える高知よさこい情報交流館を窓口に、初回から第20回大会までの“お宝”を広く県民、市民から募集する。文化的価値が高いものは、7月開館する県市の新図書館複合施設に保管・展示する方針で、「エピソードやその時の状況ができるだけ分かる形で応募してもらえるよう準備を進める」。
 
 市民や子どもたちを対象にした正調踊り伝承事業や、長年祭りを支えてきた地区競演場の運営支援などにも乗りだす考えで、同課は「今後は無形文化財にということも視野に入れながら、原点に立ち返り、発祥の地としてよさこい文化を継承する取り組みに力を入れる」としている。

街を彩る多様な踊り子
 高知市のはりまや橋商店街東詰めにある、高知よさこい情報交流館には、海洋堂フィギュアによる市内16カ所の競演場・演舞場の模型を常設展示。祭りを支える地域や商店街、街を彩る多様な踊り子の姿が表現されている。

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カテゴリー: よさこい祭り社会文化高知中央


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