2017.12.31 08:00

小社会 〈大みそか定めなき世の定めかな〉井原西鶴。毎年…

 〈大みそか定めなき世の定めかな〉井原西鶴。毎年この日を迎えると、この句が浮かぶ。世には定めなく何が起こるか分からない。だが掛け売りの清算、借金の取り立ては必ずやってくる。

 江戸は元禄の時代。人々の経済は今のような現金払いではなく、商家との間で盆や暮れの一括払い、つまりツケでなり立っていた。大みそかは清算の最大行事で、借金取りから逃げおおせるかどうかの瀬戸際だった。

 樋口一葉の「大つごもり」や落語「にらみ返し」など、借金を取り立てる側と庶民の攻防を描いた名作は数多い。上方の文学者、井原西鶴の「世間胸算用」は大みそかの一日に絞ってそのやりくり算段を描いた傑作だろう。

 20章の短編の中に「神さえ御目(おめ)違い」がある。この家こそ金持ちで、いい年越しができるだろうと決め込んだ年神さま。実は「これ程の貧家とはしらず」三が日の過ぎるのを待ちかね、四日目にはほうほうの体で逃げ帰った。

 八百万(やおよろず)の神さまでさえ見当違いをする。だから、一つ屋根をめくってみれば、どんな家も大小なにがしかの問題を抱えているのが実情ではないだろうか。西鶴という文学者が偉いのは、キッチリと折り目正しい芭蕉文学とは異なる手法で人間の弱さや業の深さなどの本質を取り出してみせたことではないかと思う。

 ここにあるのは人生の泣き笑いである。どの家にも潜む空気のようなものだ。それでは、よいお年を。

 
12月31日のこよみ。
旧暦の11月14日に当たります。みずのえ たつ 二黒 赤口。
日の出は7時10分、日の入りは17時08分。
月の出は15時31分、月の入りは4時35分、月齢は12.9です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で4時50分、潮位160センチと、16時10分、潮位172センチです。
干潮は10時24分、潮位72センチと、22時56分、潮位-12センチです。


1月1日のこよみ。
旧暦の11月15日に当たります。みずのと み 三碧 先勝。
日の出は7時10分、日の入りは17時09分。
月の出は16時28分、月の入りは5時44分、月齢は13.9です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時42分、潮位171センチと、16時56分、潮位178センチです。
干潮は11時16分、潮位70センチと、23時44分、潮位-25センチです。

カテゴリー: 小社会


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