2017.12.31 08:00

【カツオ資源管理】国際協調の輪つなぎたい

 高知県の食文化、地域に欠かせないカツオの海洋資源をどう維持し、育んでいくか。南の海で、日本の交渉力が問われている。
 カツオの産卵、成育域とされる熱帯海域の漁業管理機関・中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が、カツオの漁獲規制を2018年に一部緩和すると決めた。
 赤道付近の海域でカツオを一網打尽にする巻き網漁が急増し、日本近海への回遊が減少している―として、規制強化を求めた日本の主張は退けられた。日本以外の全ての国が反対する状況は「多勢に無勢」で、カツオ資源を巡る利害の隔たりが改めて浮き彫りになった。
 熱帯海域では1980年代から米国や韓国も参入し、ツナ缶の原料などを狙った大規模な巻き網漁が急拡大した。一方で、日本近海では90年代から陰りが目立ち始めた。
 日本のカツオ漁獲量は2005年から10年間で4割近くも減った。高知県の近海一本釣り漁も1984年の約4万2千トンをピークに2009年に1万トン割れの「歴史的不漁」に陥り、減少が続く。
 水産庁関係者は国内漁場のカツオの6、7割が熱帯から黒潮に乗って回遊してきていると推察するが、科学的な立証データに乏しい。WCPFCの会合でも他国からその点を突かれた。
 ナウルやパラオなどの島国は熱帯海域と日本の不漁は無関係と主張する。WCPFCとしてもカツオ資源は「潤沢」との評価だ。
 島国の中には、排他的経済水域内で他国から支払われる入漁料が国家財政の重要な収入になっている国がある。日本の主張を容易には受け入れられない背景でもあろう。
 日本はWCPFCの場で、カツオの漁獲制限を訴える一方、絶滅危惧種の太平洋クロマグロは規制緩和を求めてきた。そうした姿勢に他国から「二枚舌」との批判も向けられてきた。
 カツオ資源の回復を目指し、尾﨑知事をトップに今春発足した「高知カツオ県民会議」のメンバーもWCPFC会合に初参加した。国際交渉の厳しさを目の当たりにしながらも、現実的な課題を実感できたことに意義はあったはずだ。
 WCPFCは2019年にカツオ資源の新たな評価を示す予定だ。国内のカツオ漁関係者から「対応が20年遅れ」とも指摘される日本政府は巻き返しへ正念場になる。説得力のある科学的根拠で臨みたい。
 各国の利害を調整する国際交渉の場で、カツオの資源管理の緊急性をどう説き、協調の輪へとつないでいけるか。そこでは政治的な駆け引きも要するだろう。
 海洋資源の共同管理の必要性では加盟国は一致する。今回の会合でも一部の島国から高知の窮状に耳を傾け、対話に前向きな声もあった。日本の世論の高まりも他国の理解を深める後押しになる。豊かなカツオ文化を誇る高知から発信を強め、国際社会を突き動かしていきたい。
カテゴリー: 社説


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