2017.12.30 07:30

サッカー高知ユナイテッド2017シーズン総括 全国2勝に手応え

1年間を通してひたむきにボールを追い続けた高知Uイレブン。写真は全国地域チャンピオンズリーグ第1試合で相手DFと競り合う田口(7)。左は前原(11月、兵庫県の五色浜運動公園)
1年間を通してひたむきにボールを追い続けた高知Uイレブン。写真は全国地域チャンピオンズリーグ第1試合で相手DFと競り合う田口(7)。左は前原(11月、兵庫県の五色浜運動公園)
県民巻き込み昇格機運を 
 サッカーの高知ユナイテッドSC(高知U)にとって発足2年目の2017年は、確かな一歩を刻んだシーズンだった。初めて四国リーグを制し、JFL昇格の懸かる全国地域チャンピオンズリーグ(地域CL)に初挑戦。得失点差で惜しくも予選ラウンドを通過できず、JFL入りは逃したものの、「チームもフロントも、得たものも大きい」(武政重和社長)1年でもあった。今季を総括する。

 11月中旬、地域CLから帰ってすぐの練習。愛媛から駆け付けた男性と地元男性のサポーター2人が「ありがとう 高知の男たちよ」と書かれた横断幕を広げた。「最後の最後に、すごい試合をやってくれて…」。涙ながらに選手に感謝を伝えたこのシーンが、今季の高知Uに対する評価の象徴かもしれない。

高まる期待感
 今季同様、JFL昇格を逃した1年前のシーズン終了時と比べ、今年はかなりポジティブな雰囲気が漂う。前身のアイゴッソ時代も含め、全国で勝利をつかめなかったチームが、地域CL予選リーグで2勝(1敗)。サポーターにとっても「全国で勝てる」と確信できたのは大きな収穫だった。
 
 前監督の西村昭宏氏がスーパーバイザーとなって包括的な業務に関わり、大谷武文監督が現場を見る―という体制が構築されたのが大きい。田口や小見、堀江、中林ら主力となる選手が加入して層が厚みを増し、大谷監督が選手たちに「高い意識」を落とし込む。チームとして最後の大舞台で結果を出せたのはそのサイクルができたから。そういう意味で、大谷監督の続投は来季に向け、最も明るい要素の一つだ。
 
 「誰が何と言おうと、僕は絶対にこのチームを上に上げる気持ちでやります」。今月11日のサンクスパーティー。ピッチ外で柔和な表情しか見せない大谷監督が、鬼気迫る表情で宣言した。200人のサポーターの前で、あえてこう言い切った指揮官の覚悟が選手に伝わり、そして1年を積み重ねれば―。期待は高まる。
 
流れの加速を
 「地域CL突破―JFL昇格」が現実味を帯び、今後、問われてくるのはフロントの手腕だ。「高知からJを」という機運を県民全体に広げる好機であり、フロントには、これまで以上の責任がかかる。
 
 今季、高知Uの公式戦観客数は計約6千人。昨季(計約1万1千人)の半分だが、それは最大のライバルで、2千人以上が観戦したFC今治がJFL入りして対戦がなかった影響が大きい。
 
 「だからこそ、さらに努力しないと」。武政社長の口調は熱を帯びる。
 
 実際、サッカー教室や地域の祭りなど、今季にクラブが関わったイベントは昨季の59件から95件にほぼ倍増。「サッカー教室で教えた子どもたちが試合を見に来てくれた」(DF山内)こともあり、規模はまだ小さいものの、好循環ができつつある。
 
 スポンサー企業は昨季の128から168に、収入も5800万円から6800万円へと順調に増加。武政社長は「スタッフが“背水の陣”で走り回ってくれたし、メディアに取り上げられる回数が増えて認知度が上がってきている」と手応えを感じている。
 
 その一方で、Jリーグの加盟条件である「ホームスタジアムの確保」の先行きは、いまだめどが立っていない。平地が少ない本県の特性などから、新スタジアムの早期建設は容易ではない。既存施設の活用を考えれば、観客収容数などの要件を満たす春野陸上競技場が思い浮かぶが、各種陸上競技大会や球技大会との調整が必要になってくるだろう。
 
 しかし、J3ライセンスの条項に「メインスタンドにいす席のある入場可能数5千人以上のホームスタジアム」とあり、クラブが本気でJリーグを目指す以上、近い将来、この問題に直面することは避けられない。もちろんクラブだけで解決できる問題ではないが、だからこそ18年は、県民を巻き込んで、Jへの機運を高める1年にしたい。
 
 県民への広がり、スタジアム確保のほかにも、クラブの財政規模の拡大など、Jリーグへの道のりには、乗り越えなくてはならない問題は山ほどある。ただ、17年は間違いなく、“目的地”に向けて確実に前進した、と感じさせる1年だった。この流れをさらに加速させたい。

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