2017.12.29 08:00

【2017回顧(上)】国会の劣化を招く強引さ

 国会をないがしろにすることばかりの1年ではなかったか。
 学校法人「森友学園」への国有地売却、「加計学園」による獣医学部の新設、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報に関してなど、国会では政権の姿勢を問われる問題が取り上げられた。
 目立ったのは、批判を受けようとせず、正面からの議論を避ける安倍首相らの姿である。森友問題で首相は「私や妻、事務所が関わっていれば首相も国会議員も辞める」と述べながら、解明に消極的なままだ。
 稲田元防衛相は、戦闘が起きるなど現地では緊張高まる厳しい情勢だったにもかかわらず、「9条の問題になるので武力衝突という言葉を使っている」とした。PKO5原則と憲法9条への抵触を避けようとの思惑で詭弁(きべん)を繰り返した。
 他にも隠蔽(いんぺい)、強弁など不誠実さばかりが印象に残る。議論が深まらなければ、国会審議は形骸化し、機能不全に陥るのではないか。
 「共謀罪」法の採決では、自民が参院の委員会での採決を省き、本会議に持ち込む「中間報告」の強硬手段に出た。森友問題などを追及しようという野党からの臨時国会召集要求はたなざらしにした上、首相が冒頭で解散した。衆院選後は、慣例で野党に多く配分されてきた質問時間を数の力で減らした。
 民主主義が機能するためには「健全な野党が必要だ」―。
 「鉄の女」といわれた英国のサッチャー元首相が残した言葉である。論戦を繰り広げ、問題の中身を掘り下げてこそ、国民の理解は広がる。その過程を積み重ねることで民主主義は確かになる。
 当然、野党の存在が問われるべきだ。だが民進党は立憲民主党、希望の党、無所属の会などに分裂した。なお離党と合流が続く。
 その存在の軽さが首相の「1強政治」による強引さを許しているといっていい。ひいては国会の劣化にも結び付いていないか。
 官僚の態度にも疑問が残る。佐川宣寿・現国税庁長官は森友側への国有財産の売却を巡り、平然と「資料を破棄し、面会記録は残っていない」。全体の奉仕者である官僚に開き直りとも取れる態度を許しては、国会の権威が保てまい。
 首相は衆院選で森友、加計問題への批判をそらし、東京都議選の大敗からの挽回を図ったのだろう。唐突に少子高齢化などを「国難」と表現し、教育無償化を打ち出した。
 消費税率10%への再増税による税収の一部を、債務返済に充てず教育無償化の財源に転用するとした。財政健全化と引き換えに掲げた公約で、衆院選を戦った形である。
 12月初旬の世論調査では、森友問題に対する会計検査院の報告が出た後の首相の説明に、75%が不十分とした。加計問題に関する政府の説明には66%が納得していない。
 首相は丁寧、謙虚を心掛けると口にする。だが、その姿勢によっては民意は離れかねない。
カテゴリー: 社説


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