2017.12.28 08:25

在宅医療の日々映画に 高知県四万十市の小笠原医師追う

小笠原望さんが患者を診察する映画の一場面
小笠原望さんが患者を診察する映画の一場面
 在宅医療に力を注ぐ高知県四万十市の医師、小笠原望さん(66)の日々を追ったドキュメンタリー映画「四万十~いのちの仕舞(しま)い~」が完成した。
「いのち」を見詰めた作品を手掛ける溝渕雅幸さん(55)=奈良県生駒市=の監督作品で、患者の命に「いいしまい」をつくりたいと奔走する小笠原さんの姿と、患者や家族との交流を紹介する。2018年1月27日のTOHOシネマズ高知(高知市)を皮切りに全国で順次公開される。

 小笠原さんは20年間の病院勤務を経て、2000年から大野内科(四万十市渡川1丁目)の院長を務める。病院での診察のほか週2日、往診に出る。家族や訪問看護ステーションなどと連携し、慢性疾患のある高齢者ら30人ほどの自宅を回る。100歳を超える患者も4人いる。

 死ぬまで家で過ごしたいという希望に寄り添い、可能な限り食事や会話を続けられるよう努めている。患者と家族が時間を共有して覚悟ができていれば、みとりの場面は決して暗くないのだという。

 「家族、本人が『よかった』と思えるいいしまいをつくりたい」と小笠原さんは話す。

溝渕雅幸監督
溝渕雅幸監督
 監督の溝渕さんは、ホスピス病棟でがんの終末期ケアを取材した「いのちがいちばん輝く日」(13年公開)を製作。テレビ番組で小笠原さんを取材したこともあり、「亡くなる人も、みとる人も満足感のある“よい死”をもっと知りたい」と、昨年12月から四万十市に通い、今年9月まで密着した。

 離れた家々を回り、患者との対話に時間をかけ、血圧を診れば「上等です」が口癖の小笠原さんを、溝渕さんは「ただ話を聞いていいところを見つける。医者らしくない」と評し、「都心の在宅専門医のように患者は多くない。志がないとできない」と舌を巻く。

 「人の命も自然の中のもの」と言う小笠原さんの考えを具現化するかのように、映画は落ちアユ漁や桜の開花など、四季ごとの自然界の生き死にも映し、折々に小笠原さんの川柳を織り込んでいる。

 製作・配給は「ディンギーズ」(大阪府枚方市)。1月27日の高知公開では、溝渕さんらの舞台あいさつが予定されている。

1月14日に試写会 四万十市
 「四万十~いのちの仕舞い~」の劇場公開に先行し、撮影地の四万十市で来年1月14日、無料試写会が開かれる。

 スマートフォン向けアプリ「UDCast」を利用したバリアフリー上映会で、目の見えない人や耳の聞こえない人も映画を楽しめる。アプリを通じて音声ガイドを流し、希望者に字幕が見える眼鏡型機器を貸し出す。

 四万十市右山五月町の四万十市立中央公民館で午後1時半から。溝渕雅幸監督と小笠原望さんのトークもある。



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