2017.12.26 08:00

【過疎地の議会】自治の在り方を考えたい

 今年、全国から注目された高知県関係のニュースの代表格が、大川村による「村民総会」の研究だ。
 引退の意向を持つ現職議員がいたため、次の2019年村議選で候補者が定数6に満たない恐れが出た。和田知士(かずひと)村長は6月定例会で、有権者が直接参加する「村民総会」の研究を表明した。
 その後、18歳以上の全村民361人にアンケートを行い、条件付きの人も合わせて20人以上が立候補に前向きなことが分かった。
 これを受け総会に関する対応は中断したものの、深刻な過疎の実態をあぶり出し、一石を投じる結果となった。少子高齢化の加速などで、議員の「なり手不足」に直面している自治体は少なくないはずだ。
 大川村のように、追い込まれる自治体が再び出ることはあり得る。議会に代わる組織として、地方自治法で定める「町村総会」は漠然としていて、根本的な問題は解決してないといっていい。
 同様の問題を抱える長野県の喬木(たかぎ)村議会は12月から休日・夜間の開会を始めた。県南部にあり人口約6千人。大川村より規模は大きいが、候補者不足に直面していた。
 発案は議会側だから、危機感の表れだろう。夜間は7時から9時まで開会した。仕事後の議員もいたが特に支障はなく、傍聴者はいつもより多かったと伝えられる。
 議会は、秘密会を除き、法で定める公開の原則を守ればいいはずだ。平日昼間に限らず、柔軟に開会できることは喬木村のケースが示した。休日や夜間が傍聴しやすいのはどこも共通するだろう。
 自治とは、住民が責任を持って考えることだ。現状を考え、針路を決めるのは地域の人々に他ならない。開会日程は議員が都合を合わせて、議会と自治体の実情を住民に知らせる努力を優先すべきではないか。
 問題は議員に関する兼業禁止の規定である。法では、自治体関係の委員会委員などのほか、自治体と請負関係にあったり、そういった組織に所属したりしていれば議員に従事できないと定めてある。
 確かに議決に関わる立場は重い。公正さは当然求められ、疑問を持たれることがあってはならない。ただ過疎地の小規模な自治体も、全国一律の尺度を適用することが現実的かどうかは考える余地がある。
 高齢化率が高い地域なら、必然的に現役世代の数は限られる。自治体と関係ないという就労の場がどれほどあるだろう。活動的な人物に自治体などの仕事や肩書が集中することは珍しくないはずだ。公正公平を保つ形で、過疎地の実情に即した制度は考えられないか。
 大川村の和田村長は先ごろ、野田聖子総務相を訪ね、「請負」の事例を明確化する▽請負禁止範囲の一定見直し―などを提言した。
 総務省は大川村の事例を受け、有識者研究会を設置済みだ。地方の切実な問題提起をどう受け止めるか。私たちもさらに関心を高めたい。 
カテゴリー: 社説


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