2017.12.24 07:50

【国連米批判決議】無軌道な振る舞い許すな

 札束で頬をたたいて従わせる―。国連の場であるまじき光景が公然と繰り広げられている。
 トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と正式認定した米国の決定に対し、国連総会は緊急特別会合で、認定の撤回を求める批判決議案を圧倒的多数の支持で採択した。日本も賛成した。
 エルサレム問題は宗教対立が複雑に絡み、憎悪と暴力の歴史を重ねてきた。米国を含む国連加盟国がガラス細工を組み上げるように試行錯誤してきた中東和平の難題だ。その解決の道を一方的に断ち切るようなトランプ氏の独断が、国際社会で容認されるはずもなかった。
 決議は平和を追求する国連の当然の意思表示である。法的な拘束力はないとしても、米国は真摯(しんし)に受け入れるべきだ、と求めたいところだが、どうやら米国は聞く耳を持たないようだ。
 国連での決議案採決を前に、トランプ氏は米国方針に反対する国に対し、経済支援を削減すると警告し、圧力をかけた。大国のカネの力にものをいわせ、米国の援助に頼る国々の弱みにつけ込む。脅迫、どう喝にも似る。
 「数億ドルや数十億ドルも受け取っておいて(米国に)反対する国には、やらせておけばいい。米国は大いに節約できる」。トランプ氏の脅しめいた発言に超大国のリーダーの品格は見られない。
 決議は、欧州諸国など128カ国が賛成し、米国やイスラエルなど9カ国が反対したほか、オーストラリアやカナダなど35カ国が棄権した。米国の孤立が際立った一方、棄権は予測よりも多かった。米国の圧力の影響は否めない。
 パレスチナとイスラエルの抗争が激化している。そんな混乱も顧みないトランプ氏の強引な言動には、ユダヤ系の国内支持層などへの内向きのアピールが透ける。北朝鮮問題などでは国際協力を迫り、自らの要求に応じない国は口汚くののしる。ご都合主義も甚だしい。
 国連の議場で米国のヘイリー国連大使は、国連のイスラエル対応そのものを非難し、国連への拠出金の削減も示唆した。米国が築いてきた国際社会での指導力、けん引力を自ら捨て去るにも等しい。
 国連憲章は「寛容を実行し、かつ、善良な隣人として互いに平和に生活し、国際の平和および安全を維持するためにわれらの力を合わせ」とうたう。大戦の反省に立つ国連の対話と協調の精神を米国は踏みにじるのか。
 テロや地球温暖化など、もはや1国のみでは解決できず、多国間の枠組みを要する課題が広がり続けている。トランプ政権の「米国第一」主義はその国際潮流に逆行する。
 日本の決議案支持は1国の横暴を許さないという判断として当然だ。国際協調の普遍的価値をないがしろにする無軌道な振る舞いをいさめ、正していく。同盟国、友好国であるが故の役割を果たすべきだ。
カテゴリー: 社説


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