2017.12.22 08:00

【MOX燃料高騰】原発政策の矛盾の象徴だ

 原発で使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の価格が高騰している。導入を始めた1999年の約5倍に達していることが、貿易統計で明らかになった。
 MOX燃料は、使い終わったウラン燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、新たな核燃料として加工したものだ。現状では国が目指すウラン資源の再利用計画「核燃料サイクル」に欠かせない。
 ただ製造経費が高く、以前から経済性が疑問視されてきた。日本は使用済み燃料をフランスのメーカーに委託して再処理後、輸入しており、より高額になりやすい。
 問題は、核燃サイクル政策を続ける以上、高騰するMOX燃料を調達するしかないことだ。
 この国が抱える原発政策の矛盾は深い。MOX燃料高騰はその象徴の一つといってよい。
 サイクル政策は原発の一層の推進を意味する。福島第1原発事故を経験し、国民の原子力への視線は厳しいにもかかわらず、だ。政策の見直しが改めて問われよう。
 核燃サイクルは青森県六ケ所村での再処理、MOX燃料生産と、MOX燃料を消費してさらに多くのプルトニウムを生成する「高速増殖炉」の実現が柱だ。
 成功すれば、輸入に頼るウランの利用効率が飛躍的に高まる。処分すべき使用済み燃料の量を減らすことも可能になるだろう。夢のエネルギー政策との位置付けだった。
 ところが、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)は94年の初臨界後、重大なトラブルを繰り返してきた。1兆円を超える国費を投入したにもかかわらず、ほとんど成果を上げないまま廃炉が決まった。
 これはサイクル政策の事実上の破綻を意味するが、政府は高速増殖炉開発を次の段階へ進め、サイクル政策を続ける方針だ。
 旗を降ろせないのには訳がある。一つは、サイクルを前提に取り出したプルトニウムが既に50トン近く存在することだ。
 プルトニウムは核兵器にも転用可能で、余剰分を持たないのが国際公約になっている。高速増殖炉が実現しない中、消費手段になっているのがMOX燃料を通常の原発に用いる「プルサーマル発電」だ。
 四国電力伊方原発3号機など一部の原発が対応しているが、MOX燃料は放射線量が高い欠点もある。プルサーマルのこれ以上の拡大は国民の理解が得られまい。
 もう一つは、たまっている使用済み核燃料の行方だ。日本は高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地の確保も先送りしてきた。
 サイクル政策をやめれば、処分を巡る問題が一気に浮上しかねない。青森県が一時的に受け入れている大量の使用済み燃料も行き場を失うことになる。
 とはいえ政策を見直さなければ、課題の先送りは続き、いずれ取り返しがつかないことになる。矛盾をこれ以上、増やしてはならない。
カテゴリー: 社説


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