2017.12.17 08:00

【新幹線トラブル】安全管理に欠陥はないか

 新幹線が開業以来培ってきた安全性への信頼が大きく揺らぎかねない事態だ。
 山陽新幹線で、「のぞみ」号の車両の台車に亀裂などが見つかり、途中駅で急きょ運行を取りやめるトラブルがあった。
 幸いけが人などはいなかったが、高速で走る新幹線にとっては深刻なケースといってよい。台車が損壊すれば、脱線などの大事故を招きかねないからだ。
 それだけではない。車内では異臭や異常音、もやなどが確認されたのに、最初の異変から運行中止まで3時間近くもかかった。安全運行への姿勢が疑われる。
 運輸安全委員会は事故につながる恐れがあった重大インシデントとして調査を始めた。
 新幹線は陸上交通の要であり、利用者も多い。車両の性能や安全管理に欠陥があるとしたら一大事だ。運輸安全委やJR西日本などは原因解明と再発防止策が急がれる。
 トラブルがあったのは博多発東京行きの列車だ。小倉駅を発車した際に乗務員らが焦げたようなにおいを確認した。
 連絡を受けた車両保守担当の職員が岡山駅から乗車。先頭から4両目で、うなるような音を聞いたが、運行には支障がないと判断した。京都駅を出た後、再び異臭が確認されたため名古屋駅で車両の床下を調べて運休を決めたという。
 JR西によると、台車の枠に亀裂が入っていた。車体と車軸を固定する鋼製の枠で、国土交通省は、これが破損すると車軸を固定できず脱線する恐れがあるとしている。
 他にも、台車でモーターの駆動を車輪に伝える管が変色していた。歯車箱(ギアボックス)付近で油漏れも確認された。
 気になるのは、亀裂が見つかった台車はトラブルの前日に目視点検が行われていたことだ。2日に1回の頻度で点検している。先月末には動作確認の検査も行われているが、異常はなかったという。
 航空機や自動車もそうだが、点検には異常を見逃さない技量と、点検の頻度や手法といった制度の在り方も重要になる。台車の亀裂という深刻な異常をなぜ事前に把握できなかったのか、徹底的に究明しなければならない。
 運輸安全委の前身である航空・鉄道事故調査委員会が発足した2001年以降では、新幹線の重大インシデントは初めてとなる。ただ、事故は起きている。
 山陽新幹線では15年に車両カバーが脱落して乗客が負傷する事故が起きた。運輸安全委はボルトが十分締め付けられていなかったことが原因と結論付けている。ミスを生じさせない工夫や、ミスを早期発見する仕組みにも欠けていた。
 安全神話への慢心は許されない。他の車両の台車も早急に再点検してほしい。点検の在り方や運行中止に至るまでの経緯も、しっかりとした検証が必要になる。
カテゴリー: 社説


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