2017.12.07 08:00

奇跡の笑顔 全盲・重複障害を生きる(42)11月 軌道に乗った!?

「文化の日」の3日、「いっぽ」はヒマワリ畑へロング散歩に出掛けた(土佐市出間)
「文化の日」の3日、「いっぽ」はヒマワリ畑へロング散歩に出掛けた(土佐市出間)
月、金、土曜は満員に
 「文化の日」の11月3日、重症児デイ「いっぽ」(高知市)は開所2カ月を迎えた。祝日だが金曜なので店開き。訪ねると代表の山崎理恵さんから、思い詰めた表情が消えていた。予約が急に増えたのだ。

 「月、金、土曜が満員(5人)に。保育士さんも今月からパートで1人、年明けからは常勤さんも決まったんです」

 ここ数日で立て続けに予約が入り、11月の月間利用予定は80人。半月間で約20人増え、目標まであと10人だった。病院から自宅へ帰る1歳児や、仕事に復帰したい母親、育児疲れのお母さんが使いたい、という情報が相談支援専門員から入り、準備を進めていたのだ。

 施設は申し込んでも、すぐには使えない。面談やお試し利用をして、母親が納得すれば契約。関係者との調整会議を開き、利用日数が決まる。その間、施設側は学校やリハビリ施設を訪ね、子どもの様子を見て病気や特性、ケア方法を知り、円滑な受け入れを図る。だから、半月~1カ月はかかる。

 「1歳のお子さんは週5日利用するかも。保育園のお子さんは週3日。満杯になったらスタッフが追い付かない…」と山崎さんは次の心配を始めていた。

 重症児を在宅で見始めて間もない母親の生活は過酷だ。緊張と分からないことだらけでパニック、寝不足に陥り、孤立する。訪問サービスが入っても1日1、2時間では、ちょっと買い物に出るのがやっと。そんな時、昼間に長時間預かってくれる重症児デイ施設は強い味方である。自分の休息だけでなく、職員に悩みも相談できるし、同じような立場のママ友もできる。「いいな」と思うと、もっと使いたくなるという。

    ◇  ◇

 「文化の日」、利用児は4人だった。その中の南国市の田村翔空(とあ)君(8)は6日前の土曜に利用を始めたばかり。平日の放課後は近くの土佐希望の家の重症児デイを利用しているが、土曜は休業。気管切開しているので土曜の受け入れ先は、県内では「いっぽ」だけ。片道1時間の遠距離なので、月2回の予定で契約した。

 この日の利用は予定外だったが父親の休みが取れたので、「もし、いっぽに空きがあれば、翔空を預けて、久しぶりに遠出をしよう」となったという。電話を入れると、「大丈夫ですよ!」。ということで朝、「いっぽ」に家族5人で来て翔空君を預け、両親と妹2人は車で2時間弱の黒潮町へドライブ。公園でくつろぎの時間を送ったという。

 夕方迎えに寄った両親は「いつもは近場の公園なんですが、今日は楽しめました。何年ぶりかなあ」と笑顔だった。

 11月から週1日利用を始めた佐川町、田元湊祐(そうすけ)君(4)の母、朝美さんも予約を追加した。昔の職場から「繁忙期だけでも手伝ってほしい」と呼ばれ、アルバイトに。「5年ぶりです。まさか働けるなんて」

 山崎さんの師匠である名古屋の法人理事長が以前、言っていた。「重症児デイがあると、親子の生活はコロッと変わるんです。お母さんは働きに行けたり、きょうだい児の面倒を見たり。子どもも変わるんです」

 その通りだった。

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カテゴリー: 社会奇跡の笑顔社会


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