2017.11.23 08:00

声ひろば 2017年11月23日、木曜日

1.健康と好みの間で
【原田征男、78歳、京都市伏見区=仁淀川町出身】
 日本人は風呂好きだとよく耳にするが、私もご多分に漏れず風呂大好き人間の一人である。従って1年365日、入浴は欠かす事ができない。一日の終わりとしてのケジメとして、就寝前に入る風呂はまさに至福の時である。
 ところが困った事に私の入浴はどうも健康的ではないのである。まず長風呂である事である。約1時間入っている。さすがに1時間以上入っていると家人が心配して声を掛けに来る始末。しかし本人は長く感じていないだけに始末がこの上なく悪い。
 弁解がましいが、風呂に入っていると時間感覚が薄れてしまうらしい。浴室には一応時刻表示があるにもかかわらず、そこに目が向かないままに過ごしているらしい。誠に困ったものである。
 浴槽に入ってたっぷりの湯に浸るという行為は、母親の胎内での感覚に似ているのではないかと思えるほど心身ともにリラックスし、この上なく心地よい。だからではないが、時々うつらうつらと気持ちよく眠ってしまう事があり、当然ながら大目玉を食らっている。
 もう一つ健康的でないのは熱めの湯にどっぷり入るのが私流で、健康的といわれる半身浴では風呂に入った気分には到底なれないから困ったものである。だが自分自身の事である。心しなければと強く思う今日この頃である。

2.土佐の大菩薩峠
【松本和明、78歳、高知市】
 いの町成山に土佐七色紙発祥の地に関わる悲しい伝説がある。
 当地の仏ケ峠の「紙業界之恩人新之丞君碑」によると、慶長初年(1596年)ごろ、成山村で病に倒れた旅人を村で機織り・染色などを業とする養甫尼と三郎左衛門が介抱する。
 旅人新之丞はお礼に、七色紙の技術を2人に伝授した。数年後、故郷伊予へ帰る新之丞を、仏ケ峠で三郎左衛門が斬殺する。理由はその技術を村独自のものとするためとか。悲惨な話である。
 ふと、中里介山の小説「大菩薩峠」(山梨県東北部にあり、江戸期の青梅街道の難所)の冒頭シーンを思い出した。主人公の浪人が峠に着いた老巡礼を背後から、一刀のもとに斬り殺す。浪人の心の闇による理由なき所業のようだ。
 七色紙は三郎左衛門が新領主山内家に献上して以来、将軍家への献上品となり、藩はその技術を秘匿するに厳しい対策をとったという。
 このむごい伝説が技術の秘密厳守の規制のための創作だと思えば、少しは心が救われる。だが、愛媛県鬼北町に伝説の「新之丞誕生地碑」があると聞けば、伝説が真実味をおびてくる。
 「大菩薩峠」は仏に由来する名だが、「仏ケ峠」の「仏」とは新之丞の供養をも意味するのであろうか。

3.究極の夫婦愛情物語
【堀内和代、53歳、主婦、東京都】
 現在、国内外ともで「認知症」が大きな社会問題となっている。自分がどこに居るのか、誰なのか分からなくなってしまうのは、本当に心細く不安な事だろうと思う。しかしその不安を打ち消してくれる映画がある。「八重子のハミング」だ。
 若い頃から共に教師をしてきた夫の誠吾と妻の八重子。生徒たちにも慕われ順調な日々を過ごしていた夫婦に、夫のがん、そして妻の若年性認知症という病が襲いかかる。お互いを必死で看病するが、妻は次第に記憶をなくしていき…。
 病は誰にも降りかかると分かっていながら涙が止まらない。
 夫役の升毅(ますたけし)さんの熱演が素晴らしく、また妻役の高橋洋子さんの二十数年ぶりの映画出演も懐かしい。東京では観客動員数が多かったため、異例のリバイバル上映もされ、話題となった。私も今年見た映画ベストワンと言ってもいい。
 監督の佐々部清氏は語る。「身近なところに愛の物語はいっぱいある。映画を通してそれを感じてもらえたら」と。
 高知市のあたご劇場で11月25日~12月8日まで上映される。究極の夫婦愛情物語をぜひ劇場で。

4.珊瑚婚式
【西内雅彦、60歳、元競輪選手、南国市大埇】
 先日、私は結婚35周年を迎えました。35年は、珊瑚(さんご)婚式ということです。珊瑚のように長い年月を経て成長することから、それになぞらえて、35周年を祝う式とのことです。
 結婚当時は、いろんな祝いごとがありました。子供たちや私たちの誕生日、そして入学、卒業、就職、父の日、母の日と。しかし今は、子供たちも自立し、いつの間にか祝いごとが少なくなってきました。
 久しぶりに夫婦で外食し、歌も歌い、昔話に花が咲きました。その中で、最近はなんのお祝いごともしない。お互いの誕生日、結婚記念日、わかっているけど口に出さない。外食も減り、自宅での話は、どこが痛い、あそこが痛い、仕事の愚痴、これではストレスばかりたまっていく。
 何か楽しいこと、楽しみを探していき、昔のようにお祝いしてうれし涙をながし、うれしさや楽しみを増やしていこうと妻と話し合いました。
 楽しみや、うれしいことがなければ、なんのために頑張って働いているかわかりません。これから金婚式、まだその上を目指して、お互いが元気で頑張っていこうと話した一日でした。

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