2017.11.17 08:20

龍馬が教科書から消える? 「暗記用語多すぎる」 民間団体提言が物議

桂浜の坂本龍馬像と山川出版社の教科書のコラージュ
桂浜の坂本龍馬像と山川出版社の教科書のコラージュ
 坂本龍馬の名前が高校の日本史の教科書から消えるかもしれないと物議を醸している。全国の大学と高校教員らでつくる民間団体「高大連携歴史教育研究会」(会長=油井大三郎・東京大名誉教授)が、教科書本文に掲載する用語を半減させるために坂本龍馬を掲載候補から外したためだ。同会の案は提言であり強制力はないものの、研究者やファンの間で全国的に論議が沸騰し、驚きや動揺の声が広がっている。

 同会は2015年に発足したばかりで教科書作成に影響を及ぼした実績はないが、世界現代史の第一人者である油井会長ら専門家約400人が名を連ねる。「従来の歴史教育は暗記する用語が多すぎ、古代から始めた授業が近現代まで到達せずに終わることが多い」とし、日本史と世界史の教科書が収録する用語を独自に精選。日本史では従来の半分の1856語とする案を10月に発表した。

 坂本龍馬は日本史教科書の5社8冊すべてに掲載(2014年度調べ)。「薩長同盟」「大政奉還」の実現に携わった主要人物として記述されている。

 同会によると、重大な歴史事象は掲載するが、人名はできる限り削減する方針で選定したという。中村翼事務局長は「例えば薩長同盟の締結は歴史的に重要だが、それを仲介した龍馬は、教科書に載せて全員が覚える必要はないと考えた」と話す。

 今月中旬にこの案が各種メディアで取り上げられるようになり、特に龍馬を巡って注目を集めている。

 ファン団体で組織する「全国龍馬社中」の橋本邦健会長(76)=高知市若松町=には全国から心配する電話が相次いでいるという。「龍馬の存在を広めてきたものとしてはさみしいものがある。署名活動でもすべきか、話し合いをしたい」

 16日に桂浜観光で高知市を訪れた千葉県柏市の佐藤正樹さん(53)は「強烈な歴史ロマンを持つ龍馬が教科書からいなくなると、歴史がつまらないものになりますよ」と相当に不満げだ。

 県立坂本龍馬記念館の三浦夏樹主任学芸員は「龍馬の功績は大きいが、歴史的評価や教え方が難しい」とした上で、「全国的に非常に人気がある人物なので、もし教科書で教えないとなると残念。何らかの形で残してほしい」。

 文部科学省の教科書検定審議会の臨時委員を務める熊本県立くまもと文学・歴史館の服部英雄館長は、用語の削減には賛成だとし、「歴史の大きな流れを理解させることが重要で、主要人物に絞る方針はいい。ただ、地域の偉人や歴史を学ぶことは大切で、学校では副読本を使って教えてほしい」と話す。

 今回の案では武田信玄、上杉謙信なども削除。高知県関係では教科書全8冊が掲載していた山内容堂、5冊掲載の長宗我部元親も外れた。岩崎弥太郎、板垣退助、中江兆民、幸徳秋水、浜口雄幸らはリストに入った。同会はアンケートなどを経て本年度末に最終案をまとめ、文科省に提言する予定だ。

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カテゴリー: 社会教育坂本龍馬主要文化


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