2017.10.25 08:05

[2017衆院選] 高知2区“両氏支持”の100人検証

保守層や無党派層を取り込んで高知2区を制した広田一氏=右=と、比例復活に甘んじた山本有二氏
保守層や無党派層を取り込んで高知2区を制した広田一氏=右=と、比例復活に甘んじた山本有二氏
 10月22日に投開票された衆院選で、県西部の高知2区は元民進党参院議員で無所属新人の広田一氏が、自民党前職の山本有二氏との一騎打ちを制した。県西部ではここ十数年、「衆院は山本氏、参院は広田氏」と使い分けて投票してきた保守層や無党派層がある程度の厚みで存在するとみられ、今回は「山本VS広田」の直接対決による二者択一の中、これまでの山本票が広田票にオセロのようにひっくり返り、広田氏勝利に大きく影響したと考えられる。高知新聞社は、出口調査や聞き取り調査でこうした有権者100人の投票行動を分析した。

 広田氏は父が元自民党高知県連会長で、自身も県議当時に自民党に所属。2期目の当選を果たした2010年参院選では、旧民主党公認でありながら、地元の幡多地域を中心に保守層から一定の支持を得た。一方の山本氏は1990年の衆院選初当選以来、連続9期27年。安倍晋三首相とも近い大ベテランで、8月まで農相を務めた。

 高知新聞社の調査は、2010年参院選で広田氏に、2014年衆院選で山本氏にそれぞれ投票した2区の有権者100人を対象に実施した。今回の投票先を聞いたところ、広田氏63人、山本氏37人で、広田氏に軍配が上がった。

 山本氏に投票した人は「無所属より自民に任せるのが安心」(高知市、30代女性)などと、「与党候補だから」を理由にする人が21人で最多。「大臣までやった実績がある。広田氏は未知数」(高知市、40代男性)などと山本氏の「人柄・実績」を評価した人が11人で、「広田氏は好きだが、共産党が支持している」(土佐市、70代男性)と広田陣営の野党共闘に距離を置く人も5人いた。

 しかし、山本氏が与党候補であることは必ずしもプラスに働いていない。

 広田氏に投票した人のうち25人は「相手が与党候補だから」を理由に挙げ、「自民が好きだったけど、加計問題など最近はちょっとひどい」(高知市、80代男性)、「私は保守支持だが、安倍政権は怖い。安全保障法制は強権的過ぎる」(いの町、70代男性)などと回答。安倍政権への反発で一定の保守票が広田氏に流れた状況が裏付けられた。

 広田氏に投票した理由で最も多かったのは「人柄・実績」の31人で、「比例復活のない無所属で出馬した決意を応援したい」(四万十市、60代男性)といった声も。

 ただ、「山本氏は環太平洋連携協定(TPP)の承認で二枚舌だった」(四万十町、30代男性)、「(採決強行を巡る)失言があって信用できん。どちらかと言えば地元の広田氏」(土佐清水市、80代女性)などと山本氏と比べた上で支持した人がかなり多く、“敵失”が広田氏を利した側面もうかがえた。

 今回の高知2区で、広田氏は旧民進や共産などの野党共闘を軸に戦った。前回衆院選で両党の候補の得票は計7万2千票余りで、山本氏に1万1千票余り及ばなかったが、広田陣営には当初から「山本氏を支持する保守層を6千票ひっくり返せば勝負になる」との目算があった。

 共同通信社が高知2区の投票所24カ所で行った出口調査では、広田氏が自民支持層の23・6%に食い込み、無党派層の72・4%に浸透。本紙の調べで明らかになった“オセロ現象”も含め、最終的に2万票以上の差がついたとみられる。山本氏は比例復活で10選した。

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