2017.10.13 14:30

エルネスト

映画「エルネスト」の一場面
映画「エルネスト」の一場面
南米ボリビアで ゲバラと共に 戦った日系医学生

 キューバ革命の立役者、エルネスト・チェ・ゲバラが南米ボリビアで亡くなってから今年で50年。ゲバラをまつったキューバの霊廟(れいびょう)に、一人の日系人のレリーフがある。

 実在の日系2世のボリビア人、フレディ・前村(オダギリジョー)が本作の主人公。20歳で革命後のキューバに留学して医学を学んだ後、帰国してゲバラと反政府運動に身を投じた生涯を追う。

 ゲバラからエルネストの戦士名をもらい、反政府ゲリラに参加する前村。革命を志し、医学を学んだという共通点はあるが、その違いも鮮明に描かれている。

 彼が学んだハバナ大学では、大学を訪れたカストロ議長やゲバラとも言葉を交わす。ボリビアの地主や軍による農民への搾取に反発し、革命に燃える前村だが、血気盛んで危うい一面をゲバラらに指摘される。

 また、留学生のリーダー格となり慕われるが、生真面目で恋愛がうまくいかず、自らが富裕層出身という境遇から同級生とも対立する前村には、どこか不遇な一面も見え隠れする。軍事調練やゲリラでの戦闘の場面は一部で、英雄としてでなく、生活の中で葛藤する人間・前村を描いた点には好感が持てた。

 日本とキューバの共同製作で、白れんが造りの家が立ち並ぶキューバの町並みが随所に登場する。特に、夕闇や町の明かりを捉えた夜の描写が美しい。

 世界的にも人気があり、英雄として取り上げられるゲバラ。アメリカに反発するボリビア政府がゲバラを正当化する一方で、同国内では「発展と民主主義は武力闘争によっては得られない」と英雄視に反発する声もあるという。

 映画では、ボリビアの留学生のうち、反政府ゲリラに身を投じた青年は前村らごく一部だったことが描かれている。

 第2次大戦後の独立運動や近年北アフリカや中東で起きた「アラブの春」、イスラム国の問題など、“革命”の歴史を改めて振り返ってみたいと感じた作品だった。 

 TOHOシネマズ高知で上映中。

(楠瀬慶太)

カテゴリー: シネスポット文化


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