2017.10.13 08:35

[2017衆院選] 「回復」を問う アベノミクス下の地域経済(上)

業況判断プラス続く 実質賃金は一進一退
 2012年12月に第2次安倍政権が発足し、経済政策「アベノミクス」が展開されて5年弱になる。この間、高知県内経済はどう変化したのか。
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 企業の業績は、改善を示す数字が並ぶ。

 日銀が四半期に1回行う短期経済観測調査(短観)は、業況を「良い」とみる企業の割合から「悪い」とみた割合の差を指数として公表する。高知県内指数=グラフ参照=は、政権発足時の2012年12月はマイナス19だった。それが2013年12月に17年ぶりにプラスに転じた。以降、消費税増税前の駆け込み需要の反動はあったが、プラスを維持する。

 短観のうち、企業の収益性を示す指標として重視される「売上高経常利益率」(経常利益が占める割合)。この指標も2012年は1・5%前後だったのが2016年は2・5%前後となり、「かつてない高水準」で推移する。

 高知県内総生産(GDP)から算出する企業所得(県民経済計算ベース)=グラフ参照=は、直近2年は未集計だが、2013、14年度は2012年度比で5~10%の伸びを示す。

 高松国税局が発表する法人税課税状況では、企業の黒字申告割合は12年度から15年度で5・7ポイント上昇。企業倒産は、県内民間信用調査機関2社によると、15、16年度は過去最低水準だった。

 景気が改善した指標として強調される有効求人倍率は、倍率だけでなく、新規求人数の水準も12年度の4622人(月平均)が16年度の5761人(同)に増えている。

 業績回復につながる公共事業請負高(国、県、市町村の合計)は、12年度までの5年間と、12年度からの5年間の比較で2割余り増えた。

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 こうした「回復」を背景に、政府の賃上げ圧力もあり、高知県最低賃金は2008年から2012年の上昇幅22円に対し、2013年から2017年で73円上昇した。

 しかし、県民の家計や生活実感には結び付いていないようだ。

 今回の衆院選前に高知新聞社などが行った県民世論調査では、景気回復の「実感あり」は15・3%で、81・4%が「実感なし」と答えた。16年の参院選前の調査でもほぼ同様の割合だった。

 象徴的な指標が、実質賃金=グラフ参照=だ。毎月、従業員5人以上の400社余りを抽出してまとめる県の「毎月勤労統計」では、現金給与総額と同時に、物価の変動を加味した実質賃金指数を出す。その推移は2012年度以降、一進一退をたどる。

 個人消費をうかがうことのできる大型小売店(百貨店とスーパー計24店)の売り上げを見ると、2012年から4年連続で減少している。

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 稼ぐ企業、その恩恵にあずかれない消費者。そんな構図が浮かび上がるが、供給、消費サイドとも、必ずしもそうとは言えない、見極めの難しい要素もある。

 企業側でいえば、2016年経済センサスによると、事業所数は2012年比で約2千、5%余減った。日本政策金融公庫高知支店が調査する小企業の業況判断指数は改善はしたものの、マイナス(「悪い」超)を脱していない。

 消費側では、コンビニやドラッグストアなどを加えた小売業の売上高全体は、2015年以降は前年比増が続いており、数字に表れないネット通販も台頭する。

 指標改善に関しては、リーマン・ショック(2008年)の後、安倍政権の発足時辺りが「景気の谷」だったという見方があったり、高知県産業振興計画による取り組みの効果も混在してくる。

 今の「回復」をどう捉えればいいのか。



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