2017.09.09 08:25

共助の地図 障害者と考える震災ハザード(5)避難訓練 出んと知ってもらえん

 「生き延びる」を意味する古い土佐の言葉を用い、本社が16年に始めた防災プロジェクト「いのぐ」。その一つとして、障害のある人や家族、支援者の「いのぐ」を考えます。

 高知県に暮らす身体、知的、精神の障害者手帳を持っている人は約5万5千人(16年度末)。私たち記者もまず、彼、彼女たちの言葉、言葉にならない思いをみつめることにしました。

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前田梢さんの移動手段は、主に路線バス。「乗り降りの支援も、私たちが出ていくことで知ってもらえる」(高知市瀬戸西町)
前田梢さんの移動手段は、主に路線バス。「乗り降りの支援も、私たちが出ていくことで知ってもらえる」(高知市瀬戸西町)
 NPO法人「福祉住環境ネットワークこうち」の理事、前田梢さん(36)=高知市瀬戸。

 先天性脳性まひで下半身と右腕右手が動かない。が、電動車いすを使い、路線バスで移動する。趣味のコンサート鑑賞では階段しかないライブハウスへ。福祉の学会で県外へも出掛けるようになった。

 「都会と違って、高知では車いすの人を見る機会が少ないんでしょうね」

 「特に路線バス。2014年9月から使えるようになったんですが、初めは、乗ると他の乗客の方に舌打ちされたり。見たことないから仕方ないなって思ってました。今では、乗り降りを手伝ってくれる人も増えたように感じます」

 昨年11月には、地元の避難訓練にも参加した。

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 「南海中学校区で津波避難訓練があって、うちの住宅団地も参加しました。町内会長さんが昔から知ってる方で、『出てくれんか』『隣のご夫妻が前田さんの担当になったき、一緒に避難を』と。きちんとした準備をしてくれて、ありがたかったです」

 「ただ、集合場所へそのご夫妻と行くと、私を見て声が上がったんですよ。『こんな人おったかえ、うちの団地に』。確かに家が隣だったり前だったりという人は関わりがありますが、(町内会の)班が違うとなかなか会わないですしね」

 「電動車いすに乗っていると、『電動やき楽でいいよね』ってよく言われます。本当はバイクと同じで、バランス取ったりせんといかん。何度、いすから投げ出されたことか。『電動やき(災害時も)逃げれるね』とも言われますけど…」

 「私の電動車いす、いつもは玄関横の車庫に置いてあって。家では手すりを使って、1階で何とか暮らしてます。70歳近い母と2人暮らしなんですが、出掛ける時は、先に出勤する母に車いすを玄関前へ持ってきてもらってます。家も車庫もつぶれたら、おぶってもらうしかない」

 「全てに言えることですけど。私たち(障害者)が出て行かないと、多くの人は私たちのことを知らない。どうやってバスに乗っているのか、ライブハウスの階段上がるのか。地震津波の避難時、どうするのか、も」

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 地域や職場の防災訓練への参加状況。「地震・津波に対する県民意識調査」で、「過去1年に参加した」は2013年度は39・2%。それが15年度は40・9%に。翌16年度の県民世論調査で、同様の質問に対する答えは42・2%。県全体では徐々に上がってきているようだ。

 一方、「参加したことがない」という本県障害者の声は根強くある。

 その割合を示すデータはない。ただ―。「危ない、と断られた」「どうせ自分は助からないので、出なくていい」。不参加の理由は、どこか切ない。

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カテゴリー: 社会いのぐ災害・防災


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