2017.09.06 08:20

共助の地図 障害者と考える震災ハザード(2)身体障害 発生時、避難所に不安

スロープ。電動車いす。ほかにも訪問介護やデイサービスなど、松本文夫さんの在宅単身生活はさまざまなサポートがあって成り立っている(高知市神田)
スロープ。電動車いす。ほかにも訪問介護やデイサービスなど、松本文夫さんの在宅単身生活はさまざまなサポートがあって成り立っている(高知市神田)
 高知市神田にある一軒家。玄関から道路へスロープが延びる。脳性小児まひで四肢に障害がある松本文夫さん(68)。訪問介護やデイサービスを利用し、電動車いすで在宅単身生活を送っている。
 
 障害のある人が65歳になると受けられるサービスは、障害福祉から介護保険に切り替わる。そのため36年間暮らした障害者施設を3年前に出て、両親が残した家に移った。
 
 「不安で不安で。小さい頃は両親と、大人になってからは施設生活で、1人暮らししたことない。勇気いりましたよ」。住み慣れた地域ではない、ということもあるだろう。
 
 それ以上に不安なのが、災害時のことだ。
 
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 ベッドの脇の小物入れ。「去年の夏、台風の時に用意した」という懐中電灯やラジオ、眼鏡などがある。「こないだ(8月初旬)の台風の時も不安で。スマホでニュースや気象情報をチェックしてました」
 
 「避難準備の情報が入って、スマホが鳴るでしょ。するとますます不安になって。『避難を』と言われても、そう簡単に行けんし」
 
 ベッドの横にテーブルがあり、その上に無造作に置かれた手のひらに載るほどの小さな装置に目をやる。
 
 「その赤いがが、警備会社に通報できる機械。黄色いボタン押すとすぐ来てくれる。夜は枕元へ置いて寝てます。ただ、地震の時はここまで来てもらえるかどうか」
 
 「避難所行ってからが不安」とも。
 
 自宅は津波の浸水想定区域内ではないが、「地震が起きたら家が無事でも在宅生活は難しい。避難所に入った方が安心できますよね。ヘルパーさんたちも災害時はなかなか来れんろうし、僕だけに時間は割けないでしょ?」。
 
 「避難所って障害者用トイレはありますか? 車いす対応じゃないと、狭くて中へも入れない。便座に移るにも介助がいるし、寝起きの際も、車いすを乗り降りする時も。それを初めましての人にお願いせないかん。遠慮、ありますよね」
 
 障害者や高齢者を受け入れる福祉避難所の存在については、「そういうのがあるとは…知りませんでした」。不安を軽くする情報は、松本さんに届いていない。
 
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 2017年の障害者白書。国内の施設入所・入院率が身体、知的、精神の障害3区分別に示されており、身体障害は圧倒的に低い1・5%。ほとんどの人が在宅生活を送っていることになる。
 
 東日本大震災では身体障害の死亡率が3区分の中で最も高かった。12年7月に共同通信がまとめた宮城県沿岸13自治体の死亡率(全住民に占める死者の割合)は1・4%だったのに対し、知的障害は1・5%、精神障害は3・1%、身体障害は3・9%だった。
 
 1980年代以降、「施設から地域へ」という流れがある。日常に加え、災害時の支援が求められている。

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