2017.08.30 14:30

よさこい追手筋で踊れない 演舞枠不足で抽選組増加

本番が始まる直前の追手筋本部競演場。テレビ中継もあり、各賞の審査も行われる(10日午後1時ごろ)
本番が始まる直前の追手筋本部競演場。テレビ中継もあり、各賞の審査も行われる(10日午後1時ごろ)
 追手筋で踊らせて―。よさこい祭り本番(8月10、11日)から半月余り。県外チームの踊り子を中心に、今も響いている嘆きの声がある。「本部競演場の追手筋で踊りたかったのに、踊れなかった」。参加チームの増加で、14年前に抽選制が導入されたためだ。中には7年間も抽選に外れ続けているチームもある。演舞時間延長やルール改善を求める声が上がっている。

 追手筋で踊れないチームの大半は県外勢。県内勢は出場2回目から踊ることができるため、県外勢のくじ引き組が増える。

 今年7回目の参加ながら一度も当たりを引いたことがない「やいろ」(愛知県)の大中原豊代表(38)は「高知の祭りだからと納得して参加してきたけれど、さすがに長過ぎるのでは」と話す。

 本番2日間、同競演場で踊れる時間は午後1時15分~9時半。南北の通りを使い、5、6分おきに踊り子が出発し、約350メートルを15分ほどで踊りきる。2日間で昼夜1回ずつ踊ることが基本で、所定時間内で全演舞を終えるため、“追手筋枠”は170チームとしている。

 そのため、参加チームが170を超えた第50回以降は、初出場と県外の出場回数が少ないチームが抽選対象に。今年は206チーム(申し込み当初)のうち、38チームが当たりわずか2枠の抽選に回った。夜は踊らない子どもチームなどの空き枠で1回だけ踊ったチームを除けば、25チームは追手筋で踊ることができなかった。

 全チームが踊れるようにはできないのか。206チームの場合、昼夜とも踊るチームを134に絞り、1回だけのチームを72とすれば、全チームが最低1回は追手筋で踊ることができる。

 しかし、昼は賞の審査、夜は個人賞「花メダル」授与の会場となる追手筋。主催のよさこい祭振興会は「踊り子の気持ちを尊重して昼夜はセットが基本」との考え方を取る。

 2013年の第60回では「記念枠」として、少なくとも1回は追手筋で踊れるよう開始を45分早めた。計算上、開始時間を午前11時に前倒しすれば全チームが2回踊ることができるが、同振興会は「記念大会ということで特別に了解してもらった経緯があり、地域の同意を毎年得るのは難しい」とする。

 隊列が昔より短くなったことを挙げ「出発間隔を詰めてはどうか」と指摘する声もある。第50回で約106・9人だった1チームの平均人数は、今年の第64回で約87・8人。出発間隔を4分20秒ほどにすれば約209チームが踊れる計算も成り立つが「集合時間に来ないチームや踊りの進みが遅いチームもあり難しい」(同振興会)という。

 同振興会のある担当者は「10年以上考えゆうけど名案が出ない」と頭を抱え、「でも本当に何とかしたい。アイデアがあったら教えてほしいです」と話していた。

「悲しい」「高知らしくない」 チームやめる人も
 「追手筋で踊りたい」と訴える県外チームは多い。「学生よさこいチームおどりんちゅ」(東京都、7回目)の上田葵唯(あおい)代表(20)は「大学4年間で一回も踊れなかった先輩もいたはず。悔しい」。「俄嘉(にわか)屋」(岡山県、7回目)の末光智美代表(48)は「まだ2年目の高知のチームが踊ってるのを見ると少し悲しい」と話す。

 県外チームにはよさこい全国大会で追手筋を踊るという選択肢もある。しかし、観客が多く、祭りムードが最高潮になる「本番」こそがよさこいだ、という踊り子は少なくない。

 第60回で地区競演場連合会奨励賞を取った「紀楽蝶(きらくちょう)」(和歌山県、4回目)は、翌年、受賞チームとして追手筋で踊ったが、第62回から再び抽選対象に。「追手筋に行けないなら」とチームをやめる踊り子が出た。「鳴子連 梵天(ぼんてん)」(愛知県、6回目)は、高知まで応援に来た地元の高齢者らから「ずっと追手筋で待ってたのに見られなかった」と言われたという。

 県外チームからは「県内外の区別なく回数の若い順に」「いっそ全チームで抽選を」などの“叫び”も聞こえる。「大富士with雄大グループ」(静岡県、6回目)の大田香奈子副代表(49)は「特別扱いしてとは言ってない、せめて同じにしてほしい」。

 同様の意見は県内の観光関係者にも多く、「ホテル港屋」の工藤晃三支配人(73)は「わざわざ県外から来た人たちを歓迎しないのは高知人らしくない」と話す。

 「気に入らんなら来るなって言われても来ますよ」と「よさこい塾・ありがた屋」(三重県、5回目)の坪田信司さん(50)。「そのぐらい高知のよさこいが大好きなんです。だからこそ追手筋で踊れないのは悲しいです」

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カテゴリー: よさこい祭り文化・芸能文化


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