2017.08.24 08:30

【いのぐ記者の熊本報告】避難所で自立の第一歩 田部祥一朗さん(城西中2年)

約500世帯が生活するテクノ仮設団地を案内する吉村静代さん=右(益城町で田部祥一朗さん撮影)
約500世帯が生活するテクノ仮設団地を案内する吉村静代さん=右(益城町で田部祥一朗さん撮影)
 「避難所のあり方を変える」「地域コミュニティーを大事にする」
 
 この二つの言葉は、益城町にあるテクノ仮設団地の自治会長、吉村静代さんが言っていた言葉です。この言葉に僕は心を動かされました。
 
 吉村さんは、前震が起きた後、屋外のカーポートで一晩過ごしました。その後、本震が起こりました。地震の衝撃で屋根が飛び、ピアノが大きく移動しました。振り回される感覚だったそうです。
 
 本震の後に吉村さんは益城中央小学校の体育館へ避難しました。そこはすでに足の踏み場がなく、次に地震が来た時に逃げることのできない状態でした。これではだめだと思い、避難所にいる人全員に「地震が来た時、逃げられるように避難通路をつくっておこう」と呼びかけました。大勢の人がいたにもかかわらず、みんな文句一つ言わずに聞いてくれたそうです。
 
 1週間たつと、掃除道具を貸し借りするようにして、みんなの顔が見える環境にしました。1、2カ月ぐらいたつと、自分たちの力で避難所運営ができるようになりました。
 
 ここの避難所の特徴は、行政の力を借りすぎないこと。行政の力を借りすぎると、自分でできることも任せてしまうので、吉村さんたちは行政の方たちに早めに引きとってもらうようにしました。
 
 僕はこの話を聞いた中で冒頭に書いた二つの言葉が印象に残っています。一つ目の「避難所のあり方を変える」。通常は避難所のマニュアルに従って役割分担をするのですが、吉村さんは役割分担するとみんなに負担がかかるし、他人任せでやらなくなる人も出てくると考えました。そこで料理や掃除などその人が特技を生かして、自主的に仕事をするようにしました。
 
 吉村さんは言っていました。「避難所で自立する」。自立しなかったら、いつまでも自分が被災者と思ってしまいます。そうならないためにも、自立への第一歩を避難所で踏み出すことが大切です。
 
 二つ目は「地域コミュニティーを大事にする」。吉村さんが話の途中で何回も言いました。地域で仲良くならないと避難所運営が進みません。せめて近くの地域でもいいので、顔見知りになっておけば、安否を確認することもできます。
 
 支援に来てくれた人にも感謝することが大切です。それができれば、非日常から日常へ返る。みんなが明るく過ごせる避難所になると思います。
 
 僕が吉村さんの話を聞いた中で、これから高知に必ず来ると言われている南海地震に備えるために必要なことは、地域の「つながりの輪」を広げることだと思いました。この経験を生かし、まずは自分の地域や身の回りの人たちに伝え、一人一人の意識を変えていきたいです。そして、一人でも多く助かる人が増えてほしい。それが僕の願いです。

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カテゴリー: 社会いのぐ2016熊本地震災害・防災


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