2017.08.24 09:00

【いのぐ記者の熊本報告】心の備えが命を守る 広内琴音さん(夜須中2年)

大木が根元から倒れた塩井神社。奥には湧き水が流れている(益城町で広内琴音さん撮影)
大木が根元から倒れた塩井神社。奥には湧き水が流れている(益城町で広内琴音さん撮影)
 知らないことほど、怖いものはない。私は地震がくるのは怖い。でも、何も知らずに待つのはもっと怖い。今回、私は現実と向き合い自分のことと捉える覚悟を持って、熊本県に行った。
 
 地震被害の跡はまだ残っていた。中でも益城町の塩井神社には驚いた。巨大な木は根っこから倒されていた。その光景からは人間には止めることのできない、自然の恐ろしさが伝わってきた。もしその時、私がここにいたらと思うと、覚悟を決めてきたにもかかわらず、恐怖に襲われた。
 
 しかし、恐ろしいことだけではなかった。そこにはとてもきれいな水が流れていた。断層のおかげで湧き出た水もあり、地震で水の量が増えたという。自然は私たちにいろいろな恵みを与えてくれている。そう思うと、自然と上手に付き合うことが、今の私たちに必要なことだと思った。
 
 西原村で安芸市出身の山岡縁(ゆかり)さんにも話を聞いた。説明のしようがないほど想像を超える揺れ。鍵をした窓が全て開き、壁は崩れ、物は遠くまで吹っ飛び、立っていられなかったそうだ。経験した人にしか分からないという言葉は、私たちの心に強く刺さった。中途半端な気持ちで話を聞いていたわけではないが、経験した人にはかなわない自分の意識の足りなさを感じた。
 
 山岡さんの長男がよんだ俳句が心に残った。「意外とね 避難生活 楽しいな」。厳しい避難生活の中で励まし合い、前向きに生きるしかない。心の奥のそんな気持ちが伝わってきた。私にその心の余裕が持てるだろうか。でも私は現実を知るためにここへ来た。恐怖に立ち向かうために必要で、当たり前のようでできていないこと。それは備えだ。
 
 今、一番私が重要だと思うことは心の備えだ。もちろん、家具の固定や食料の準備は必要だけど、それは心の備えを手助けするものだと思う。大きな揺れが来た時、倒れてこない家具や数日分の食料は心に余裕をもたらしてくれるだろう。
 
 情報の受け取り方にも注意しなければならない。全ての情報をそのまま受け取ってはいけない。非常時こそ、落ち着いて行動しなければならない。やはり心の備えが命を守る役に立つと思う。
 
 テレビを見るだけでは分からない被災地の現状。私は目を背けずに話を聞いてきた。私たちは自然の恵みにいやされ生きているが、時には牙をむく。それでも自然と上手に付き合っていくため、被害を最小限にしたい。
 
 私の住む町は素晴らしい所だ。もし津波や地震で町の姿が一変しても、ここに住む人たちの命が失われなければ、またきっと素晴らしい町に戻る。この町の人たちは私の宝物。なぜならこの素晴らしい町を作っているから。私はこの宝物を少しでも多く守りたい。

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カテゴリー: 社会いのぐ2016熊本地震災害・防災


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