2017.08.24 08:50

【いのぐ記者の熊本報告】かけがえのない故郷 中屋和佳葉さん(市立中村中3年)

地震による布田川断層のずれ。草の生えている場所が大きくずれている=写真中央(益城町で中屋和佳葉さん撮影)
地震による布田川断層のずれ。草の生えている場所が大きくずれている=写真中央(益城町で中屋和佳葉さん撮影)
 ずれた地面、舗装が直っていない道路、崩れたままの住宅、地震の激しさをこの目で見た。地震前の人々の生活は消えたのだと、実感した。
 
 益城町では、人々が普通に生活している土地の下に断層が二つも走っている。木山断層と布田川(ふたがわ)断層だ。益城町を案内してくれた坂本文隆さんは「断層があることは知っていたが、熊本は災害の少ない地域なので、地震が起きることはない」と思っていたそうだ。取材した人全員が“まさか”の地震だったと言っていた。
 
 益城町杉堂地区の塩井神社。ここでは断層のずれによる被害がはっきりと表れていた。周囲の木は普通に立っているのに、断層の上だけは木が倒れている。すぐ下を流れる布田川も昔の地震によって生まれたものだそうだ。
 
 断層は木を倒し、家を倒し、人々の生活を奪うものだと思っていたが、その断層から川が生まれ、その河口に広がったのが熊本の町だと聞き、自然の非情さ、偉大さを感じた。
 
 私と同じ中学生は、この地震でどんな体験をしたのだろうか。地元の木山中学校の生徒との交流で地震が起きた時や、その後の思いを聞いた。
 
 2年生の関飛楓(ひゅうが)君は避難していた駐車場で本震に遭い、がれきなどが崩れて道路がふさがり逃げられなくなった。大人たちが「もう死ぬのかな」と言っているのを聞いて、とても不安になった。
 
 3年生の後藤壮梧君は地震の後、車中泊、テント生活、避難所と転々とし、夏になってようやく仮設住宅に入った。
 
 転校や引っ越しで、たくさんの友達と離れ離れになった生徒もいた。このような体験をしたことでみんな、命や人とのつながりの尊さを考えるようになったそうだ。
 
 私はこれまでに、東北の地震やこの熊本の地震などの災害について、新聞やテレビのニュースで見て、自然の怖さや命の大切さを理解しているつもりだったが、中学生の話を聞いて、やはり自分のこととして考えることができていなかった気がした。
 
 最後に「まだ被害が残る益城町にどんな思いがありますか」と質問すると、「やっぱり益城が好き」「ずっと益城に住んでいる。ここが僕の故郷」と答えてくれた。どんな姿になっても、今まで過ごしてきた時間があるから、自分の住む町は嫌いになれないし、かけがえのない故郷なのだと感じた。
 
 熊本の人たちは、自分たちの町で元の生活に戻れるよう、たくましく生活していた。私も、地震が来ても故郷を大切に思い、たくましく生きていきたいと思う。

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カテゴリー: 社会いのぐ2016熊本地震災害・防災


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