2017.08.13 08:00

【PAC3展開】緊張を高める言動は慎め

 防衛省は香南市の陸上自衛隊高知駐屯地など中四国4県の陸自に、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を展開した。
 北朝鮮が、米領グアム周辺に向け発射する計画だという新型中距離弾道ミサイル「火星12」に備えるためである。北朝鮮側は、発射すれば島根や広島、高知の上空を通過するとしている。
 お盆休み中の人が多く、帰省や行楽のシーズンでもある日本に突然、きなくさい朝鮮半島の現実が突き付けられた形である。何よりも、平和な市民生活に不安をもたらす北朝鮮の計画を許すわけにはいかない。自制するよう強く求める。
 北朝鮮は8月中旬のうちにミサイル発射計画を最終的に完成させる予定とされる。「火星12」の精度を疑問視する指摘もあり、発射された場合に本県などの上空を通過するかは不明ではある。ただ、万一に備えて警戒はしなければならない。
 これまで北朝鮮は度々ミサイルを発射している。日本では被害こそ出てないものの、危険性は現実味を増しつつあるといっていい。政府による備えは必要だろう。
 日本のミサイル防衛は二段構えになっている。まず海上自衛隊のイージス艦に搭載した海上配備型ミサイルで迎撃し、失敗した場合に対応するのが地上のPAC3だ。当面は、北朝鮮の出方に神経をとがらす日が続くことになる。
 北朝鮮は7月、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を繰り返し、米本土を攻撃圏内に収めた可能性がある。ICBMに搭載できる小型核弾頭の開発に成功したとも伝えられている。
 今回の発射計画も、武力を背景に北朝鮮が一段と挑発姿勢を強めたとみるしかあるまい。世界各国から批判を浴び続け、孤立が深まるばかりであるにもかかわらず核・ミサイル開発をやめる気配はない。
 気になるのは、米国が挑発に応じて、脅し合いに等しい警告の応酬を続けている点だ。
 「世界がこれまで見たこともない炎と怒りに見舞われる」。そんな過激なトランプ米大統領の言葉を北朝鮮は「たわ言」と片付け、「グアム包囲射撃を検討」と強い調子で応えている。
 引くに引けないチキンレースを続けているようにも映る。懸念されるのは、敵意むき出しの果ての偶発的な衝突だ。緊張を高める言動は厳に慎まなければならない。
 危険な暴走を世界は許さない―。金正恩(キムジョンウン)政権にその点を理解させるためには、国際社会の結束が問われよう。経済制裁とともに対話の窓口を閉ざさない努力が不可欠だ。
 とりわけ、トランプ氏には冷静さが求められる。強硬姿勢だけでは北朝鮮が反発を強め、暴発を起こす可能性も考えられる。
 日本と韓国に加え、北朝鮮と関係の深い中国、ロシアとも連携し、緊密に国際包囲網を構築するよう外交努力を尽くす必要がある。
カテゴリー: 社説


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