2017.08.12 15:20

よさこい人の懸け橋に 全国大会 誇り、悲願…思いさまざま

全国大会“皆勤賞”の「さぬき踊らんな連」。本番でも華麗な踊りを披露した(8月11日午後、追手筋本部競演場)
全国大会“皆勤賞”の「さぬき踊らんな連」。本番でも華麗な踊りを披露した(8月11日午後、追手筋本部競演場)
 よさこい祭り本番翌日の8月12日は、全国各地の“よさこい人”が高知に集う「全国大会」。今年で19年目を迎える大会の本番とは違う意義とは。
 
 「全国大会は選ばれたチームしか出られない。誇りがあるし『高知で(本番と全国大会)3日間踊る』がチームの決まり文句。3日間踊らないとみんなが納得しないし、夏が終わらない」
 
 そう話すのは「さぬき踊らんな連」(香川県観音寺市)の露原敬弘さん(45)。全国大会が始まって以来、“皆勤賞”で高知通いをしており、2017年も本番1日目の8月10日から踊り続けている。
 
 本番には誰でも出場できるのに対して、全国大会はその年の本番受賞22チームと県外勢46チーム(各地の祭りへの参加実績や地域性などを基に高知市観光協会が選考)しか出られない。2017年は58チームから応募があったという。
 
 2017年、初めて全国大会に出る「葵」(千葉県茂原市)の御園節子さん(59)は「出場は悲願だった」と喜ぶ。チームの立ち上げは2011年。地元の「茂原七夕まつり」で高知県知事賞や千葉県知事賞を受賞するなど実績を重ね、祭りの実行委員会から推薦されたという。「高知系のよさこいチームとしては高知で踊ることは大きな目的」と意気込む。
 
■「本家」を守る
 全国大会が産声を上げたのは1999年。「本場・高知のよさこいを全国に発信したい」「全国各地のよさこいを高知の人に知ってほしい」という思いからだった。2017年春亡くなったペギー葉山さんが16回大会まで審査員長を務め、高知のよさこいを広くアピールした。
 
 「もう一つ、目的があった」と言う人がいる。当時のよさこい祭り競演場連合会会長で、第1回全国大会の企画運営担当リーダーを務めた岡崎直温さん(66)。
 
 当時は北海道のよさこいソーランが勢いに乗り発信力を強めていた。岡崎さんは「『札幌が全国大会をやるらしい』という話もあった。『ソーランがよさこいの本場』となりかねないと考えた」と明かす。「よさこいの本家・高知」を守るという意図があった。
 
 実際、全国大会は高知の“ブランド化”に一役買っている。
 
 よさこい祭振興会によると、全国大会が始まった翌2000年の第47回よさこい祭り本番に出場した県外勢は13チーム千人にすぎなかった。それが2016年の第63回では61チーム4千人に膨れあがった。
 
■その場に立てる
 今、全国大会に懸ける思いは各チームさまざまだ。
 
 2009年の全国大会に踊り子として参加した大阪府大東市の榎本里菜さん(23)、貫太さん(20)のきょうだいは「高知のよさこいの音と雰囲気に圧倒された。自分たちのチームで高知に来たい」との思いで翌年、両親と「よさこいち~夢(む) 笑輝」を立ち上げた。
 
 そして2017年、チームとして初めて全国大会に出場できることになった。合わせて本番にも出場した里菜さんは「8年前は感動で涙があふれた。今年もその場に立てる」と目を輝かせる。
 
 2017年で本番出場7回目を数える「やいろ」(名古屋市)は、2016年から全国大会に出場している。代表の大中原豊さん(38)は「追手筋や帯屋町で踊るため」と話す。
 
 よさこい祭りの“華”とも言える追手筋本部競演場を踊れるチームは170チームに制限されており、初出場組や参加回数が少ない県外勢は踊れない。しかし全国大会なら踊ることができる。
 
 「高知まで来るのは一大事。せっかくなら追手筋、帯屋町で踊りたい。ずっと忸怩(じくじ)たる思いだった。昨年、ようやく踊り子に高知の醍醐味(だいごみ)を味わわせることができた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 
 第1回大会から連続出場の「夢舞隊」(大阪府貝塚市)は本番への出場歴があるが、ここ数年は全国大会に絞っている。本番は自前の地方車を用意する必要があり、バスの借り上げ日数も増えるため経費がかさむ。メンバーが休みを取るのも難しい。
 
 上甲和子さん(60)は「全国大会があるから高知に来続けることができる。自分たちと高知を結ぶ『懸け橋』になっている」。チームは高知市内の公民館を借りて宿泊し、大会当日の朝には近くの公園で演舞を披露する。上甲さんは「大会を通して人と人のつながりもできた」と喜ぶ。
 
 関係者や踊り子が思いを込め、ペギー葉山さんも愛した全国大会。来年20回を迎える大会は、高知になくてはならない存在になっている。

関連記事

もっと見る



ページトップへ