2017.08.07 08:10

【カジノ解禁】このまま進めていいのか

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の運営ルールについて、政府の有識者会議が報告書を取りまとめた。
 多くの疑問と批判を積み残したまま、昨年末、特定の区域に限ってカジノを解禁する法が成立した。報告書は、海外の事例を参考に検討を重ねた結果だ。
 それによると、カジノに加え、国際会議場・展示場▽ショッピングモールや美術館などの娯楽施設▽国内旅行の提案施設▽ホテル―の一体運用を義務付けた。都道府県か政令指定都市が、事業者を選んで共に整備計画を作り、申請を受けた国土交通相が区域を認める。
 認定は早くても2020年以降となる見通しで、開業はまず2~3カ所とするという。
 報告書は政府の狙いに沿って、訪日外国人旅行客の誘致と、それに伴う経済効果を前面に出した形だ。国内旅行の提案をする施設は、外国人客の地方への分散を図るためにほかならない。
 滞在型観光を実現させ、地域経済の振興などを図る施設として、報告書は「公益」の実現が目的だと強調する。そうだとしても、カジノ解禁をこのまま進めていいものか。
 「大人も子供も楽しめる新たな観光資源を創造するものでなければならない」。どうにも疑問が拭えないうたい文句だ。外国人客やビジネス客に加え、親子連れも取り込もうというイメージ戦略だろう。
 確かに娯楽施設やホテルなどと一体で運営される。とはいえ賭けをする施設のある所だ。
 報告書では、健全育成のためとして、未成年者へのカジノ関係のビラ配布や勧誘行為の禁止を規定している。子供にも足を向けてもらえるようにせよ、と求めるのは理解に苦しむといわざるを得ない。
 ほかにもカジノに対する世論を意識してか、「世界最高水準のカジノ規制」との方針を掲げている。強い権限を持つ「カジノ管理委員会」を政府に設け、暴力団関係者の関与、マネーロンダリング(資金洗浄)などの監視を強めるとした。
 一方で、懸念が根強いギャンブル依存症に関する対策は十分とはいえまい。日本人についてのみマイナンバーカードで本人確認を徹底するとし、入場料の徴収、入場回数の制限などを盛り込んだ。
 もっともこれでは水際防止にすぎず、カジノが新たな依存症の人を生み出す可能性は否定できない。報告書は依存症に関する相談窓口の設置や管理者の配置などを求めたものの、実効性は未知数ではないか。
 運営面ばかり先行させているようにも映るが、依存症に関する啓発、予防や治療など支援策が手薄なままであってはならない。万全を期す必要がある。
 政府は実施法案をまとめた上で、国会に提出する考えだが、カジノ解禁の是非を含めて、論議を深める必要がありはしないか。今度こそ慎重に審議しなければならない。
カテゴリー: 社説


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