2017.07.13 08:10

高知県内少年野球人口は底打ちか 選手数は実質1300人

約1千人が行進する県小学生野球選手権の開会式(6月24日、高知市の東部球場)
約1千人が行進する県小学生野球選手権の開会式(6月24日、高知市の東部球場)
 サッカー人気のあおりで衰退の一途だった高知県内少年野球人口が、底打ちした気配だ。6月下旬に開幕した「高知県小学生野球選手権」の出場登録者数は64チーム、1047人=グラフ参照。チーム数は減ったが、選手数は3年間、横ばい状態。これ以外にも未登録選手が252人おり、実質は約1300人。「何とかトンネルを抜けたのでは」と関係者をホッとさせている。

 高知県小学生野球選手権は、少年野球の1年間の締めくくりで、その野球年度の人口を表す。“隠れ人口”252人の内訳は、部員不足や低学年主体で出場できなかったのが7チーム計75人、出場したが「21人」の登録枠外の選手が177人。

 そのうち54%が3年生以下。2、3年後にチームを担うことから、主催の高知県小学生野球連盟、高橋昭憲理事長は、「やめずに続けてくれたらレベルは上がるし、友だちの輪で新たな入部が起きるはず。大事に育ててほしい」と期待する。

 小学生の野球離れは2011年から顕著になった。前年まで1600人台だった高知県小学生野球選手権出場登録は毎年、100人規模で減少。2015年には1千人割れ寸前となった。“隠れ人口”はこれまでもいたが、連盟はデータを作っていない。

 高知新聞社は2015年6月から「激減! 県内少年野球」と題して実情と原因を連載。長時間練習や親の負担の大きさ、指導者の罵声といったイメージの悪さとともに、サッカー関係者の努力が奏功していることを報告した。

 それまで、「少子化の影響」のひと言で済ませていた高知県小学生野球連盟は2015年秋、底辺拡大策を打ち出す。「試合を楽しくする」「親の負担を減らす」「未経験者への普及」を掲げ、「お茶当番」の廃止や、大会運営の「世話役当番」の日数を軽減する一方、初心児向けのティーボール教室を開催。「球児の芽」の育成に力を注ぎだした。

 2017年春からは高知県小学生野球連盟主催の3大会すべてで開会式終了後に初心児向けの「的当てゲーム」、軟らかボールを使ったミニゲームを開催。応援に来た弟妹を勧誘している。今回の選手権ではさらに踏み込み、私服のままでの入場行進も演出した。

 高橋理事長は、「努力次第では可能性があることを実感している」と安堵(あんど)。「大谷(日本ハム)、清宮(早実高)フィーバーの追い風が吹くうちに手を打たねば」と、8月下旬に春野球場で1、2年生を対象にしたミニ野球大会を初めて開く予定だ。


練習の途中、「ロバのパン」に群がる五台山レッズの子ども(高知市五台山)
練習の途中、「ロバのパン」に群がる五台山レッズの子ども(高知市五台山)
「楽しい野球」でチーム復活


 復活の兆しが見えた高知県内少年野球。高知県小学生野球連盟が2016年から取り組んでいる底辺拡大策の効果もあるようだが、2017年度に復活した高知市内の2チームの実情を聞くと、「子ども」ならではの「楽しさ」「単純さ」が野球再生のきっかけをつくっていた。

五台山 「ロバのパン」で部員増
 「ロバのパンの奇跡」。五台山レッズの4年ぶり復活を関係者はそう呼ぶ。

 全校児童数90人で、野球部員が20人(6年2人、5年4人、4・3年各5人など)。女子も3人いる。男子は3人に1人が野球少年だ。

 3年前、部員が3人となり休部状態に。翌年も5人。2016年は11人となったが、「試合はまだ無理」と出場を断念。2016年8月から待望の大会出場となった。

 停滞ムードを打ち破るきっかけとなったのは3年ほど前から土曜の朝に来始めた移動販売「ロバのパン」。おやつ代わりにと山崎篤監督(45)が自腹で購入。子どもは喜び、部員が徐々に増加。練習は土・日曜の午前中だけだが、子どもは終了後も公園で野球遊び。それを見た他の子が「面白そう」と入部。連鎖が広がった。

 部員増で1回のパン代が2千円を超えだしたため購入回数は減ったが、地域のカンパもあり、何とかしのいでいるという。

 「ロバのパンをきっかけに、子どもが子どもを呼んでくれた。やめずに続けてきたかいがありました」と山崎監督。

 ◇  ◇ 

大津 1人加入から相乗効果
 一方、3年ぶりの復活は大津ジュニアーズ。部員は19人(6年2人、5年5人、4年7人など)。「1人のお母さんの頑張りのおかげ」と永田耕三監督(61)は感謝する。

 6年生卒団後、部員が4人に。連合チームで活動を始めたため、練習も他校グラウンドへ移り、大津小学校の校庭から野球が消えた。復活のきっかけは2016年2月、1人の2年生が入部したこと。1年ぶりの新入部員だった。母親らが本格的なチラシを作って地元のスーパーに張り、「体験してみん?」と声掛けをした。2年生も、家に遊びに来る友達をキャッチボールに誘い、5カ月間で友達3人が入部した。

 部員が増えて単独チームでの活動が再開。地元での練習風景が復活すると、他の子にも野球熱が伝染。兄が入ると弟も一緒にという好循環で、あっという間に大所帯となった。
 「親の頑張り、友達のつながり、そして『野球の見える化』ですよね。しかし、これほど一気に増えるとは」と永田監督。練習は土・日曜の午後だけ。「怒鳴らない楽しい野球をしたい」と話す。

カテゴリー: スポーツ主要


ページトップへ