2017.06.19 08:15

首相に「苦言」中谷元氏(高知1区)に聞く 「政権発足5年で緩み」

「側近こそ総理に意見を」と話す中谷元氏(衆院議員会館)
「側近こそ総理に意見を」と話す中谷元氏(衆院議員会館)
 通常国会が最終盤を迎えた6月3日、中谷元・前防衛相(高知1区)が、高知県南国市で開かれた自民党支部大会で安倍晋三首相に向けて発した「苦言」が話題になった。安倍1強、官邸1強が極まり、「忖度(そんたく)」がキーワードになった今国会で、自民党内から「声」を出した意味を中谷氏に聞いた。

 ―発言に至った思いは。

 「率直な国民の思いを誰かが言わなければならない。自民党支部長として党員、県民に考えを表現すると同時に、党内にも国民の声を伝えなければ、という思いで忠言として申し上げた。『焦らず、いばらず、浮かれず、えこひいきせず、おごらず』の『あいうえお』は、上に立つ者として心掛けなければならない戒めだ」

 ―加計(かけ)学園問題がきっかけか。

 「文書を野党から指摘され、認めようとも調査しようともしなかった。国会対応としても不誠実だ。まず調査し、事実を確認する基本すらせず、取り掛かりも遅れた。総理周辺の動きも、政権発足5年を経て初心を忘れてきているのではないか。側近が『総理のご意向だ』と指示したことが書かれている真偽は分からないが、こんなことが出てくること自体が緩んでいるのでは。権力を持つ者は抑制的に、偏ることがないように、理にかなったことを行うと常に心掛けるべきだ」

 ―自民党内や首相官邸からの反応は。

 「自民党が素晴らしいところは、こういう発言をしても注意されたり、上から批判されたりすることはない。発言が党全体の引き締めにもなるし、再調査にも結果的につながった。国民が知りたいのは真実がどうだったか。納得できるように説明して終わらなければ、次の政策の実現にも影響が出る」

 ―今国会は森友学園と加計学園問題が表面化し、「忖度」がキーワードになった。安倍1強の弊害が強く出てきたのではないか。

 「行政は公平、公正でなければ信頼が揺らぐ。特に権力者は官僚や側近が取り巻くが、側近は側近なりにきちんとした戒めを持ち、側近こそ総理に意見を述べなければならない」

 ―1990年代からの政治改革で衆院に小選挙区制が導入され、派閥の無力化や「チルドレン」量産につながった。安倍政権では内閣人事局ができ、省庁の幹部人事も左右するようになった。忖度がはびこる原因では。

 「権限が集中するようになったのは事実だ。昔は長年の人物評価を各省で判断し、官邸に了解を得ていた。また、事務次官会議で一つ一つの政策を確認していたが、官邸に人事まで決定されるとなると、皆官邸の方を向いてしまう。行き過ぎがないよう公平、公正性も考えつつ人事管理、人物評価、各省の施策ができるようにすべきだ」

 ―自民党は意見の幅が広い政党だったが、安倍政権はタカ派一色だ。かつて所属していたリベラル、ハト派集団の宏池会的な存在が自民党には必要なのではないか。

 「お公家集団とも呼ばれたが、政策的に正しいことは正しいと信念を貫く流れだった。谷垣(禎一)さんはバランス感覚があり、人の意見を大事にする政治スタイル。自分も宏池会の流れで信条も貫いてきた。それぞれの政治家が自らの信条で活動しているが、小選挙区制になり、あまりにも党の力が強くなって、人事や待遇も影響されるのではという意識を持ったことで、抑制された雰囲気があるのかなと思う」

カテゴリー: 政治・経済


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