2017.06.07 08:16

寺田寅彦の手紙2通発見 遺族が高知県立文学館へ寄贈

このほど寄贈された寺田寅彦の手紙9通
このほど寄贈された寺田寅彦の手紙9通
 高知県出身の地球物理学者、寺田寅彦(1878~1935年)が晩年、弟子に宛てた手紙2通が新たに見つかった。手紙は元東海大教授の伊東彊自(きょうじ)(1908~92年)宛て。寅彦の孫で伊東の義理の娘にあたる女性が2017年5月までに高知県立文学館へ寄贈した書簡9通の中に含まれていた。伊東が執筆した論文への感想などが丁寧につづられ、弟子との親密なやりとりが垣間見える。

 伊東は1931年に東京帝国大学理学部を卒業後、航空研究所の寺田寅彦研究室に10カ月在籍。1966年まで気象庁に勤めた後、東海大学理学部教授などを歴任した。寅彦と親交があったのは、1935年に寅彦が亡くなるまでの数年だが、生涯の研究に強く影響を受けたという。

 寄贈されたのは、1932年から1935年9月末にかけて書かれた、はがき4通と封書5通。寅彦の長男・東一さんの娘で、伊東家に嫁いだ伊東真里子さん=東京都文京区=が家の片付けをしていて見つけた。

 このうち、はがきと封書それぞれ1通が初めて見つかった。はがきは1932年元日の年賀状。封書は、当時伊東が所属していた山梨県甲府市の歩兵第49連隊宛てで、1932年2月12日に寅彦がしたためた便箋1枚が入っていた。

 寅彦は伊東の母親が亡くなったことにお悔やみを伝え、入営に関しては「此の数ヶ月の期間を最も有意義に過ごしになる事と祈ります」と励ましている。

 次に伊東の論文について、自身が加筆することを提案。「あの実験をやるようになった来歴のやうなもの(中略)を小生の名前で付加し、紹介の辞と致度(いたしたい)と存じますが如何で御座いましやう。御高見如何 御相談申上げます」としている。

 高知県立文学館(高知市丸ノ内1丁目)の川島禎子・主任学芸員は「寅彦の下から優秀な人材が多く輩出されたが、私生活も含めた密な交流があったからこそという印象。史料が一定出尽くしている中、まとまって見つかった意義は大きい」と語る。

 「東京は不相変(相変わらず)暖かで氷の張ったのは二三日前に一度あっただけであります。老人には好都合であります」と手紙は続き、「甲府は山中盆地故可成寒い事と思はれます。どうか御自愛を祈ります」とまな弟子を気遣う言葉で締めくくっている。

 これらの手紙は今後高知県立文学館で展示する予定。

カテゴリー: 主要文化・芸能


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