2017.05.25 14:30

よく響く鳴子 胴に切り込み 高知県香美市の工房など開発

大きな音が響く新型の鳴子を発案、製作した、左から岡崎直温さん、公文善次郎さん、公文佑典さん(高知県香美市土佐山田町佐古薮)
大きな音が響く新型の鳴子を発案、製作した、左から岡崎直温さん、公文善次郎さん、公文佑典さん(高知県香美市土佐山田町佐古薮)
 よさこい鳴子踊りに欠かせない鳴子の製造を手掛ける「やまもも工房」(高知県香美市土佐山田町佐古薮)などが通常より大きな音が出る鳴子を開発した。鳴子の胴の先端に切り込みを入れただけだが、「鳴子の音の大きさと響きが全然違う」と花メダル級の高評価。発案した「岡崎よさこい研究所」(高知市上町5丁目)の岡崎直温(なおはる)さん(66)は「最近は音響が大きくなり、鳴子の音が聞こえづらい。鳴子の存在や良さが見直される契機になれば」と期待している。

 一見は普通の鳴子。しかし手に持ち一振りすると「カシャーン」。従来の鳴子より遠くに飛ぶような音が響く。「粘っぽくなく、歯切れが良い」。高知よさこい情報交流館(高知市はりまや町1丁目)のスタッフが驚いた表情で話す。

 競演場連合会初代会長を務めるなど長年よさこいに携わってきた岡崎さんは、鳴子を軽視するような近年の風潮が心配だ。鳴子を持ってもほとんど鳴らさないチームもある。「よさこいは『鳴子踊り』という世界で唯一のジャンル。鳴子を聞かせてこその良さがある」。手間やコストをかけず、音を大きくできないか考えてきた。

鳴子の胴の部分に切り込みを入れたことで音が共鳴し、大きく鳴るという
鳴子の胴の部分に切り込みを入れたことで音が共鳴し、大きく鳴るという
 ひらめいたのが、鳴子の胴への切り込み。「ギターのボディーと同じで音が共鳴するんじゃないか」。のこぎりで工作すると、驚くほど大きな音が出た。すぐ旧知のやまもも工房に鳴子を持ち込んだ。

 やまもも工房の公文善次郎さん(77)はこれまでも音を大きくするために、材質をヒノキからより硬いケヤキやサクラに変える工夫をしたが、高価で細工もしづらかった。岡崎さんのアイデアには「目からうろこ」。次男の佑典社長(39)と試作し、切り込みの深さを2センチと3センチにした。

 「切り込みを入れたことで音が共鳴し、大きくなるのだろう」と公文さん。4月には「上質な増幅音を発生させる鳴子」として、実用新案登録を申請した。宣伝はこれからだが既に引き合いが来ているという。

 複数のよさこいチームに楽曲を提供し、自身もチーム代表を務める音楽家、西岡良治さん(36)は「原理はシンプルなのに2人でコーラスをするような音の広がりがある。踊り子のスキルによらずに大きな音が出る」と感想。「切り込みの場所を変えれば違う音を出せる。鳴子が『打楽器』になった。よさこいで久しぶりのイノベーション(技術革新)」と喜んだ。

 切り込みは、新しい鳴子を製作する際、プラス300円で入れることができる。

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カテゴリー: 社会文化・芸能よさこい祭り香長文化


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