英語でコミュニケーションをとる楽しさを学ぶ
小学校で外国語活動 4月から必修化
2008年3月、文部科学省は小・中学校の学習指導要領を改訂し、準備期間を経て4月から新たなカリキュラムをスタートさせます。中でも注目を集めているのが、従来の小学校の必須科目にはなかった「外国語活動(英語)」の実施。初めての試みに、疑問や不安を持つ保護者も多いようです。そこで、外国語活動が導入された背景とその目的、指導方法や授業内容、また、先立って実施されている実践研究校の取り組みなどについて紹介します。
小学校5、6年生で週1時間(年間35時間)学ぶ
「生きる力」を育むという理念のもと、思考力・判断力・表現力などの育成を重視し、改訂された「新学習指導要領」。その背景には、変化の激しいこれからの社会を生きるため、それらを実生活で活用する力をつける狙いがあります。
そこで導入された「外国語活動」では、小学5、6年生が週1時間(年間35時間)学びます。高知県では2年前から準備を開始し、現在全ての小学校で何らかの外国語の授業が行われています。これは、外国語を通じてコミュニケーションの素地を育むことを目的としており、中でも多くの学校で行われているのが英語の授業。
中学校からの英語授業を前倒しして行うものではなく、具体的な内容について、県教育委員会事務局小中学校課指導主事の宮崎宏治さんは、「文法や単語を覚えるのではなく、あくまで英語はコミュニケーション力を養うためのツール。分からない言語だったら友達に伝わるように努力をしますし、一方で相手はその話を理解しようと耳を傾けますよね。そのことが、友達をより深く理解できるきっかけになるのです。また、ある小学校で『どこの国に行きたいか』という英語の質問に『エジプト』と答え、ギザの三大ピラミッドの名前を全て言った児童がいました。その子が世界についてとても興味を持ち、知識を持っていることが判明。このように普段の雑談では出てこない、新たな一面を知ることもできるのです」と説明。
また、発音に不安を感じ、多くの社会人が英語を十分に話せないという日本の現状を打破する目的もあります。小学生ぐらいの理屈抜きで新しいものを受け入れられる年代に、ゲームやクイズ、歌などのアクティビティを盛り込んだ文科省配布の「英語ノート」というテキストを授業で使用。ネーティブスピーカー(※1)が発音するCDを流し、子どもたちはその通りに発音しています。授業では、「英語ノート」や他の教材を活用しながら担任が独自に展開を考え、時にはALT(※2)に参加してもらって、より興味を高める組み立てをします。「苦手意識を持たず英語は楽しいものと感じてもらい、中学校・高等学校での学習につながっていけば」と宮崎さん。
※1…英語圏で育ち、正確な発音をする人
※2…外国語指導助手
伊野南小の取り組み 先生は授業を工夫 子どもたちは積極的
県では、指導者の育成はもちろん、これまでに県内の小学校の中から15校を実践研究校に指定して、外国語活動の準備を行ってきました。その中の一つである伊野南小では、6年前から取り組みを開始。岡則明校長は、「自発的に研修へ参加し、そこで得た知識や情報をみんなで共有してオリジナルの授業を考えるなど、先生たちはとても熱心。そんな先生の前向きな姿を見て、子どもたちも努力している様子。実際にクラスの結束が強くなった」といいます。
同校の5年生と6年生の教室を訪ねると、積極的に児童たちが関わり合い、活気にあふれた授業が見られました。5年2組の教室では、市販のDVD教材を使用し、ネーティブスピーカーの歌うような会話に合わせて正確な発音で復唱。友達に英語で質問しあうゲームでは、開始早々に席を立ち、気後れすることなく話し掛けています。担任の山崎和子先生は、「楽しいゲームや歌を使って学習を進めるので、子どもたちはとても意欲的に活動し、自然に単語やフレーズに慣れていきます。ある時、ALTがたくさんの英文を黒板に書いてしまいましたが、児童が今まで習った単語を覚えていたことに驚きました」と効果を語ってくれました。
6年2組の授業では、「英語ノート」に加え、先生が手作りした教材を導入。ALTがインタビュアーとなり、校内の6人の先生に“子どものころになりたかった職業とその理由”について英語で語らせた映像を流しました。これは、「他の先生に対して興味を持ち、関わってもらうためのものです。外国語活動は、普段の雑談では聞けないことを知り、児童の新たな一面を見ることができるなど、お互いを分かり合うツールになっています」と担任の豊川充先生。各教室の児童に外国語活動の授業について尋ねると、「DVDで英単語を繰り返し聞くと、頭の中に自然と入ってくる」「外国に行って話したい」「習った英語を休み時間に友達と復習することがある」と英語に抵抗を感じず、積極的で前向きな意見がほとんど。
英語をコミュニケーションツールとして捉え、子どもたちが楽しめるようにオリジナルの授業を展開させようと努力する先生。その姿を見ながら「少々間違ってもいいんだ。英語って楽しいな」と会話を展開させる子どもたち。英語を通じて新たなコミュニケーションが生まれ、積極的に人と関わろうとする意欲が高まる「外国語活動」は、日本を明るい未来へと導く鍵かもしれません。
幼児から始める英語教育 遊びの中で自然に学ぶ
幼児期に英語を学ぶと、正確な発音が自然と身につきやすく、吸収が早いといわれています。また、遊びの中で楽しく学べるため、抵抗感や挫折感を味わうことなく英語が習得できると、早期英語教育に興味を持つ保護者も多いようです。そこで、高知市内で英語を教える幼稚舎に早期英語教育のメリットや疑問についてお伺いしました。
同舎では、2歳から6歳までの子どもが対象。年齢によって内容は異なりますが、ネーティブ先生と会話をしながら授業が展開されます。「子どもたちは耳がいいので、聞いた言葉をそのまま発音できます。中学校の授業で、リスニングやスピーキングが不得意な子どもが生まれがちなのは、目から入った情報で発音するため正確な発音ができにくいからです」とスタッフの竹中尚子さん。
まだ日本語もおぼつかない子どもに、英語を教えると混同しないか尋ねると、「英語の問いかけには英語、日本語の問いかけには日本語というふうに自然に使い分けています」という。また、外国人が訪ねてきたときには、自ら話し掛けたということもあったそうです。実践で使える英語の力が自然と習得でき、外国人にも気後れせずに話し掛けられる早期英語教育は、グローバル化する社会への対応策として有効な手段の一つといえそうです。
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