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15年9月20日付・朝刊

答弁撤回度々で不信招く 中谷防衛相の説明責任なお重く

安保関連法案の採決を見守る中谷元・防衛相

 日本の安全保障政策を大転換する新たな安保法制の国会審議で、担当大臣として衆参両院計200時間を超す質疑に対応した中谷元・防衛相(衆院・高知1区)は安保関連法成立を受け、「戦争に協力、加担することは毛頭あり得ない。その通り実行することで理解をいただきたい」と述べた。しかし、答弁への野党の反発で審議中断は200回を超え、発言撤回も度重なった。国民に理解は広がらず、不信は増幅。議論が尽くされたのか疑問視する向きは強く、国民への説明責任はなお重い。

 中谷氏は2014年末の第3次安倍内閣の組閣で、政治資金問題で再任を辞退した江渡聡徳防衛相兼安全保障法制担当相の後任に急きょ登用された。小泉政権時代に防衛庁長官を務め、有事法制や2年前の特定秘密保護法、今回の安保法制の与党協議などで自民党の安保政策の中核を担ってきた手腕が期待された。

 就任後は、2014年7月の閣議決定を踏まえた安保関連法案の作成を指揮しながら、日米防衛協力指針(ガイドライン)改定や沖縄基地問題の対応で、米国や沖縄を訪問した。5月から法案の国会審議が始まると、参考人質疑や公聴会を除く全ての質疑に立ち続けた。

 だが、当初から事前の答弁書を踏み外さない硬直化した答弁が目立った。野党の追及の広がりを警戒して同じ説明を繰り返すほか、細部を突く質問への答えに窮したり、議論がかみ合わなくなったりしてたびたび紛糾。審議中断は、中谷氏の答弁を中心に衆参それぞれ111回にも上った。

 参院審議では、新法制による国連平和維持活動(PKO)への自衛隊派遣範囲を問われ、「法が成立したら内部で検討、検証して…」と答弁。国会審議を軽視するかのような発言に野党席から一斉に非難の矢が飛んだ。

 審議の中断中に、与党の理事が中谷氏の答弁の意図を代わって説明し、それに野党側が反発。委員長が「理事で議論しないで」と声を荒らげたことも。中谷氏に対する問責決議案の参院討論でも、野党は中谷氏の「曖昧な答弁」を問責理由の一つに挙げた。

 そうした不安定な答弁の背景の一つには、関連11法案を一括審議したことがある。論点が多岐に分散し、野党からの多面的、多角的な質問に即答できなくなるなど、中谷氏自身の安保関連法案の理解度が問われるほどで、政府自らが答弁難に陥った面は否めない。「正直で、誠実な説明」を心懸けたとする中谷氏の意図とは裏腹に、4カ月間の国会審議を経てなお、国民の多数が「説明が不十分」とし、安保関連法案への不信と不安を深める結果になった。

 19日未明に安保関連法が成立した後の会見で中谷氏は新たな安保法制の運用へ意欲を示す一方、「国民の理解がまだ十分ではない部分がある」と認めた。


  【写真】19日未明まで及んだ安保関連法案の採決を見守る中谷元・防衛相(参院本会議場)

 


 

 

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