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15年9月6日付・朝刊

高知県内首長アンケート 回答  安保法案 違憲か合憲か

安倍晋三首相と群衆のコラージュ
 安全保障関連法案の国会審議が、終盤に入っている。集団的自衛権の行使を可能にする同法案には賛否両論があり、「違憲か合憲か」も含め、双方の主張が激しくぶつかり合う。
 戦後70年、憲法9条の下で平和の歩みを続けてきた日本。安保政策の大転換となる同法案について、私たちに最も身近な政治家である首長はどんな意見を持っているのか。34市町村長と尾ア正直・高知県知事に聞いた。

【首長への設問】
 問@ 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案を成立させることについて、賛成ですか、反対ですか。
  ・賛成
  ・反対
 問A この法案が憲法に違反していると思いますか、思いませんか。
  ・憲法に違反していると思う
  ・憲法に違反しているとは思わない
 問B 国会審議を通じ、この法案についてあなたはどのように感じていますか。
  ・納得できる点が増えた
  ・疑問が膨らんだ

 (アンケートは8月11〜20日、書面で行いました。「――」は「判断を控える」「どちらとも言えない」などの回答を示しています。各設問には「理由」欄を設けており、その記載については、明らかな誤字・脱字などに修正を加えたほかは、ほぼ原文のまま掲載しました)

高知県知事 尾ア正直氏
 @――
 現時点では、どちらとも言えないが、その理由は以下の通りである。
 科学技術の発達に伴い、兵器の性能の飛躍的な向上が図られ、予測不可能な攻撃がさまざまな形態で遠隔地からでも瞬時に加えられるといった、以前なら考えられない事態が十分起こり得るという安全保障環境の変化が生じている。
 このため、わが国の平和と安全は、わが国一国では守ることができず、国際協調によらなければ確保できない状況にあると考えている。
 こうしたことから、わが国の平和と安全を確保するために新たな安全保障関連の法整備が必要であると考えているが、他方で、この法案が合憲でなければならないことは当然だ。
 ついては国会において、法案の内容がわが国の安全保障環境の改善に十分に資するかどうかという点に加えて、その合憲性について徹底審議を望みたい。
 A――
 現時点では、どちらとも言えないが、その理由は以下の通りである。
 一言で集団的自衛権といってもその内容には幅があるのであり、現行憲法9条の下では、実質的にわが国の自衛目的と言える範囲に厳に限定した形での行使にとどめるべきである。
 具体的には、他国に対する攻撃であっても旧3要件の「わが国に対する急迫不正の侵害」が認められる場合(例えば、わが国の自衛のために不可欠な防衛警備を行う他国の艦船への攻撃など)にとどめるといった歯止めを設けるべきである。政府としても、合憲となるよう安全保障関連法案を策定しようと意図したものと考えるが、引き続き、この合憲性や歯止めについて、個別事例に照らした徹底審議を行っていく必要があるものと考える。
 B――
 現時点では、どちらとも言えないが、その理由は以下の通りである。
 参議院での審議では、中国の領海侵入や北朝鮮の核兵器開発など具体的な安全保障環境の変化を挙げて、個別事例についての審議が増えつつあるところではあるが、まだ国民の理解が十分に進んだとは言えない状況にある。引き続き、法案についての丁寧な説明とともに徹底した審議を行っていく必要がある。
 とりわけ、「わが国の安全保障環境の改善に資すること」とともに「合憲であること」を両立させることがポイントであり、この点は、個別事例に照らした徹底した議論が求められるところであると考える。

高知市長 岡ア誠也氏
 @反対
 日本近海における安全保障の環境が急速に悪化しているため、集団的自衛権の限定的な行使はやむを得ない環境にあるものと認識している。しかしながら、現行憲法の制度下では、集団的自衛権の行使はできないと考えており、憲法解釈の変更ではなく、正式な憲法改正の手続きを行っていくべきものだと考える。
 A――
 違憲審査のやり方も憲法に明記されているため、「司法・立法・行政」の三権分立の下では、行政側が判断すべきものではない。今国会での安保関連法案に関する審議では、集団的自衛権の行使と憲法9条との関係整理が、大きな争点となっている。基本的には、歴代の内閣が長い期間にわたり国会で積み重ねてきた憲法解釈を、突然に変更することは、立憲主義の観点から問題が多く、正式な憲法改正の手続きを行っていくべきものだと考える。
 B――
 今回の安保関連法案は、日本の安全保障政策の歴史的な転換となる重要な法案となるので、広く国民の民意を反映させていくことが大切である。そのため、国民の疑問に正面から向き合い、丁寧に説明した上で、慎重な判断を下していくことが極めて重要である。そうした観点から、国民の理解が得られていない場合は、法案を成立させることは避けるべきだと考えており、継続的な審議を行っていくべきである。

東洋町長 松延宏幸氏
 @賛成
 武力によらず、外交努力による国家間の平和の実現を目指すことは当然のことであり、その努力を怠ることは許されません。しかしながら、自国の安全を守るために他国に依存するだけでは、成り立たない現実も直視しなければなりません。大戦後70年、国連機能が一段と低下している現状も考慮すれば、国際情勢の激変とともに、一国だけの理想的利益追求は、複雑多岐にわたる国際社会において、さまざまな矛盾を生んでいると考えます。万一に備え、自国防衛のために、防衛体制の確立と法整備は必要不可欠であり、集団的自衛権も容認されると考えます。
 A合憲
 国会の承認が必要とされており、直ちに憲法違反と断定することはできないのではないか、と考えます。自国防衛のための手段や手続き法整備までをも放棄している、とは考えられません。国策を決定する、政府や国会議員の選択を有権者として最大限に行使していくことが重要と思いますが、昨今の投票率の低下に見られるように、歯止めが利かない政治意識の希薄さの現状を危惧しています。憲法改正議論は即、「9条の改正」「白か黒か」というような固執された議論ではなく、他の条項も含め時代を反映した改正を可能とする柔軟で冷静な議論を期待するところですが…。
 B――
 憲法違反論議と対米従属的発想による事例案だけの議論に傾注しすぎているのではないか?との印象。法案審議の拙速感は否めないが、国会の権能やシビリアンコントロールの徹底のための手続きを国民に理解していただくような議論も必要と感じています。私の認識不足かもしれませんが…。

室戸市長 小松幹侍氏
 @反対
 法案が国会に提出され、審議を重ねるに従って、集団的自衛権の行使要件などについて疑問が出ていると思っている。世論調査の結果や多くの有識者が憲法に違反しているとの見解を示していることなどを考えると、このままでは国民の理解は得られないのではないか。あらためて国民の判断を求める機会を持つべきではないかと思っている。
 A違憲
 違反だと言い切ることはできないが、法案が真に違憲かどうかは、専門家の判断を待たなければならないと思う。しかし、これまでの国会での審議や報道されている内容などを見る限りにおいては、憲法に違反しているのではないかと思っている。
 B疑問が膨らんだ
 国会審議でのやりとりなどを通じて、個別的自衛権と集団的自衛権、およびその行使要件などといったことなどについて一定理解が広がっていると思うが、法的な歯止めや、「限定的な行使」の要件などについて疑問点も出てきたのではないかと思う。

奈半利町長 斉藤一孝氏
 @――
 限られた情報の下での賛否は控えたい。
 A――
 憲法学者の中でも合憲、違憲が分かれている。判断は難しい。
 B――
 どちらとも言えない。

田野町長 安岡雅徳氏
 @反対
 日本の、金だけ出して自衛隊(兵隊)を出せない憲法9条の存在やら苦しい状況は理解できるが、個々の判断基準などが、法の解釈とは食い違うのでは。
 A違憲
 問1との関連もありますが、安全保障関連法案の解釈だけが論議されているような感がします。解釈は人によって変わるものです。
 B疑問が膨らんだ
 この問題は、もっと真剣に検討すべきだと思います。市町村長は、政権を担っている自公に遠慮しているのではないか。イデオロギーを超えた大切な問題であります。

安田町長 有岡正幹氏
 @――
 国民の理解を得るために、十分な国会審議がなされることを望む。時代の変化や科学技術の進展により、わが国を取り巻く安全保障環境が変化していると感じており、あくまで自衛的な目的に限って、一定必要な法案ではないかと考える。
 A――
 各種報道において、著名な憲法学者の中でも、合憲、違憲と両方の意見があることと承知しているが、一地方自治体の長として、法案が憲法に違反しているかどうかは判断しかねる。
 B――
 法案に関する理解は進みつつあると感じる。各種報道を通じて知る限りだが、個々具体の事例に照らし合わせた議論が深まっているのではないか。

北川村長 上村誠氏
 @賛成
 自国の守りを他国頼りにしなければならないようではどうしようもない。この点について自ら防衛するために必要な措置に関する部分については賛成。
 A――
 司法で決めること。ただし、明確に記載すべき案件であると考える。
 B両方
 納得できる点も増えたように思うが、疑問も膨らんだ。

馬路村長 上治堂司氏
 @賛成
 日本の国土、国民の生命、安全を考えると、近年の世界情勢から一国だけでの対応は大変厳しいと思います。国際社会の中で連携は必要と考えます。
 A――
 憲法の違反というのは、考え方、見方の問題であって、私見だけで(そんなに法律は詳しくないので)回答は申し訳ありません。
 B――
 提出者(政府)は法案を通してから、さまざまな課題について対応検討する答弁があり、やはり、さまざまな問題を想定して、その対応策をしっかり議論して成立させるべきと思う。国民の理解が得られていないように感じる。

安芸市長 横山幾夫氏
 @――
 まだまだ国民に対し十分な説明責任が果たされていないと認識しており、幅広い国民的理解を得ながら、慎重に議論を進めるべきと考える。
 A――
 違憲かどうかは、司法の判断によるべきであり、判断できない。
 B――
 安全保障関連法案については、一つ一つが日本の針路を決める重要な法案であるにもかかわらず、内容が複雑で要件もあいまいな部分が多く、そして何よりも国民が十分理解しているとは言い難いと思う。国会において拙速な判断とならないよう、丁寧で十分な審議が必要と考える。

芸西村長 竹内強氏
 @賛成
 戦争には反対である。ただ近年の北朝鮮や中国の動向を見ると、安全保障の環境が厳しさを増しており、平和を守るためにも、抑止力の向上は必要と考える。
 A――
 憲法学者の間でも違う意見があり、判別しがたい。
 B納得点が増えた
 集団的自衛権行使の具体例など。

香南市長 清藤真司氏
 @反対
 日本を取り巻く安保環境の変化に対応するための集団的自衛権の必要性は分かるが、結果的に、時の政権で解釈が大幅に変わるなど、これまでわが国の歴代の内閣が取ってきた考え方との整合性や、憲法の上位理念に政策があるような形は無理があるのではないか。
 集団的自衛権がどれほど重要な意味を持つか、戦争の当事国になることの可能性や自衛隊員のリスクなど、もっと国民的議論を経た上で憲法改正の手続きを目指すのが本筋であると思う。
 A――
 法案が審議の過程で拡大解釈の上に成り立っていると推測される以上、憲法の範囲内とは言い切れないと思うが、憲法違反かどうかは明確に判断できない。
 B納得点が増えた
 さまざまな角度からの議論もあり、また報道を通じてそれぞれの立場の方の意見を聞くことができた、という観点で納得できる点が増えた。

香美市長 法光院晶一氏
 @――
 集団的自衛権の国民的な理解がまだ得られていないと思われる。
 A――
 憲法改正が望ましい。
 B――
 疑問が解消したとは言えない。

南国市長 橋詰寿人氏
 @賛成
 わが国を取り巻く安全保障環境は大きく変化しており、国家の安全保障上、大変厳しくなっている。特に、近隣国の軍事力や核兵器の増強など、アジア太平洋地域での緊張が高まっている。また繰り返されるテロ行為など、今日の脅威は世界規模に広がっている。従って、国民の生命と国家の存立を守るためには、厳格な制限の下、国際法上も認められている集団的自衛権の行使を可能とする安全保障法制は、できる限り早期に成立すべきである。
 A合憲
 憲法は、自衛権の行使まで否定しているものではなく、個別的自衛権は当然のこと、他国への武力攻撃であっても、日本国民の安全を守ろうとする同盟国への攻撃が、国民の生命への重大な危険と国の存立危機にひんする場合は、個別的自衛権と同等の措置として、必要最小限の武力行使である集団的自衛権も認められる。
 B納得点が増えた
 まだまだ国民全体の理解が十分に進んだとは言えない面もあるが、今国会の審議を通して、政府は一つ一つ説明をしており、国民の安全を守るための安全保障法制の必要性をあらためて感じている。

大豊町長 岩ア憲郎氏
 回答を得られませんでした。

本山町長 今西芳彦氏
 回答を得られませんでした。

土佐町長 和田守也氏
 @反対
 安全保障関連法案の必要性は理解ができるが、国民の大半が反対している中で、強引に本国会で成立させることは反対である。日本は法治国家である。憲法を改正して集団的自衛権を行使できるようにするべきである。
 A――
 さまざまな解釈がある中で、私自身法律に違反している、していないの判断はつかない。
 B疑問が膨らんだ
 国会での総理の答弁を聞いていると少しずつずれてきているように感じる。特に集団的自衛権の行使が、その時の政府の考え方で解釈が変わる恐れがあるような法案は国民としては不安を感じる。

大川村長 和田知士氏
 @――
 慎重に議論、審議すべき。
 A――
 議論の最中であり、コメントできない。
 B――
 政府の例示が、さらに分かりづらくしているようにも感じる。

いの町長 塩田始氏
 @――
 自国を守る自衛権は有しているが、安保条約において他国にわが国は守られている現状である。他国が攻撃されている状況において集団的自衛権を行使するのではなく、他国がわが国を守ってくれている状況の下、わが国および国民が重大な危機にさらされると判断したとき、国会において議論すべきであり、その際には集団的自衛権ではなく、自らが有する自衛権を他国と一緒に行使するものであり、海外における戦争に集団的自衛権の下に参加すべきではない。
 A違憲
 憲法9条1項 国際紛争を解決する手段を放棄。
 B納得点が増えた

土佐市長 板原啓文氏
 @反対
 国民の理解が十分ではないと考えることから。
 A違憲
 この法律に基づく行為が憲法に抵触する内容になる可能性が高いと思うから。
 B疑問が膨らんだ
 答弁に無理を感じる場面が多いと感じる。

日高村長 戸梶真幸氏
 @――
 国政に関することで、国民の選んだ国会議員が審議中であり、賛否は控えたいが、法律家や学者らの専門家をはじめ、多くの国民が集団的自衛権の行使に、不安感や懸念を持っており、国民の不安感の解消や理解を得なければならないと考える。
 A――
 違反している、違反していないとの両論がある。法律の専門的な知識は持ち合わせていないし、国会審議中であり、違反か、違反でないかについては控えたい。
 B――
 納得できる点もあるが、私の知識では理解できない疑問に思うところもある。

佐川町長 堀見和道氏
 @――
 A――
 B――
 憲法解釈により是非を議論し、判断することには少し無理があると感じる。70年前とは明らかに社会環境が変わっており、日本の感じる脅威やリスクも変わってきている。後世に分かりづらい、また説明しづらい「国のかたち」を残さないためにも、本質的な議論をして、まずは今の時代に合った、分かりやすい憲法に変える必要があると考える。その上で、国民の生命、安全を守るために必要な安全保障関連法案制定に向けて本質的な議論を重ねてほしい。
 ただ、現実的に国家として危急的な脅威に対応する必要もあるのではないかとも考えられるので、軽々に個人として判断をすることはできない。
 誰も戦争を望んでいるわけもなく、平和に安全に暮らしたいと思っているはずである。しかし、その平和を奪う可能性のある脅威に対しては、現実的で具体的な対策を考え、リスク回避の対処をすることが、国家としての当然の責務であると考える。

越知町長 小田保行氏
 @――
 東アジアの他国の動きが従来と変わり、またテロの脅威も感じざるを得ない状況となってきている。国民も日本は安全なのか? 現状で対処できるのか? 疑念を抱き始めていると思われる。法案の中身は、おおむね理解できるが、気になる部分もある。例えば、重要影響事態安全確保法(周辺事態安全確保法の改正)は、「周辺事態」の定義から「わが国周辺の地域における」を削除とあるが、日本国内および周辺での活動とする方が「新3要件」の定義にも合致し、理解も得やすいのではないだろうか。「自衛隊は、わが国を防衛する必要最小限の実力組織」とされていることから、やはりわが国の周辺での自衛とすべきではないだろうか。よって、まだまだ議論を重ねる必要があると思う。
 A――
 本年の終戦記念日の天皇陛下のおことば「ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い…」とあるように、日本は平和国家として歩んで行かなければならないと考える。
 B納得点が増えた
 国会審議は想定問答が多く、かみ合わない場面が印象的であった。また、レッテル貼りや決め付けの質問もあったように感じた。しかし、平和安全法制の内容をより理解することはできた。政府には、引き続き説明責任を果たしてほしい。

仁淀川町長 大石弘秋氏
 @――
 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案については、専門家や国民の中でも賛否両論があり、成立を急ぐよりも、まずは国民の理解が得られるよう丁寧に説明し慎重な審議をすべきである。
 A――
 憲法は国の最上位の法であり、法的安定性に立って安定して運用することが大事。歴代内閣の憲法解釈を変えることについては、憲法学者の中でも賛否両論があり、国民の多くが疑問を持っていると思われる。いずれにしても、国民の理解が得られるよう説明責任を果たし、慎重な国会審議をすべきである。
 B――
 国会審議を通じ、納得できる点も増えてきているとは思われるが、まだまだ疑問が払拭(ふっしょく)できているとは思えないので、さらなる慎重な審議を重ねていくことが大事。

須崎市長 楠瀬耕作氏
 @――
 基本的に集団的自衛権の行使については是とする立場。しかし、現行憲法上、問2が先に立つべき。
 A――
 司法がきちんと判断を下すべき問題であり、日本も早急にその体制を整備すべき。
 B――
 問2に公の判断が下されていないことが議論混迷の原因。

 【楠瀬氏はこのほか「私見」として以下を回答】
 基本的に、現在審議されている内容の集団的自衛権の行使については是とする立場である。
 二国間条約ではあるが、日米安全保障条約に基づき日本国内に米軍基地があり、米国軍事力により日本や東アジアの安全保障バランスが保たれていることは、日本は既に集団的自衛権の枠内で自国の防衛体制を取っていると考える。
 議論が混迷しているのは、第1に憲法第9条の下、集団的自衛権の行使として他国などとの交戦ができるか否かという点。
 第2に、歴代内閣の憲法解釈が一内閣によって変更されることに合理性があるか否かという点。主にこの二つの論点を基にいろいろな想定や心配が議論され、一部では「分かりにくい国会議論」と評されている。
 まず、内閣の憲法解釈の変更については、時の首相の責任で時代の変化など総合的に閣内で議論され(内閣法制局などの助言を得て)判断されるもので、解釈変更はあってよいものと考える。その結果、政治的には仮にその解釈が国民の多数の判断と異なる場合には選挙で淘汰(とうた)されることになる。問題はその解釈が憲法に適合しているか否かである。日本は建前上は三権分立を採っており、国会は立法、行政には一定の裁量権があり、それらが適法か否かを司法が裁くこととなっている。
 しかしながら、司法が裁くのは主に「提訴された行為」に対して適法かどうかという点で、今回のような「内閣が憲法解釈を変更した内容が憲法違反か否か」というような行政の裁量行為をできるだけ迅速に裁くシステムにはなっていない。(憲法第81条があるが今回のことを見ても機能していない)
 ドイツなどに見られる憲法裁判所のような独立した権限のある部門がないことが、今回の議論混迷の原因であると考えている。
 つまり私見を整理すると、今回の安倍内閣による憲法解釈変更はあってもよいものであるが、それが憲法違反であるかどうかは司法が判断するべきものだが、現在の日本はその体制になっていないということである。
 順番でいくと、集団的自衛権を行使するためには、まず解釈変更が憲法に照らしてどうかを公に判断し、もし現行憲法に違反しているとの判決が下されるなら、まず憲法改正が必要であり、違反なしとの判決なら国会(立法)での審理となる。
 今後も同様の事案は起こり得ることであり、早急に司法の体制を整備すべきと考えている。

津野町長 池田三男氏
 @――
 日本の周辺の安全保障環境は変わってきており、徹底した議論を期待してる。
 A――
 違憲、合憲は司法判断。法律の専門家の大勢が今までの憲法解釈を逸脱し違憲としているが、合憲論の法学者もいる。
 B――
 情報は主にテレビ、新聞であるが、全体的に反対派の意見が大きく取り上げられ、賛成派の考え意見がいまひとつ聞けない。

梼原町長 矢野富夫氏
 @反対
 考え方、進め方に対して「反対」です。国民の命を守る、国土を守るためには、自国を守る自衛権は、絶対必要であります。
 日本は、世界で唯一の被爆国となり、二度と戦争を繰り返さないと日本国憲法の下で、平和国家として歩んできました。
 そうした中で、日本の安全保障に影響を及ぼす国際情勢の変化に対応し、国際社会の平和と安定に、これまで以上に積極的に貢献するため安全保障関係の法制を整備しなければならないと政府は法案の成立に向けて議論を進めています。
 しかし、その法案は、日本の針路を大きく左右するものであり、国民を巻き込んで十分な議論ができているとは思えません。その時その時の政府が解釈して決める問題であってはなりません。
 その内容は「平和の理念が揺らぐことなく」、また、「自衛の目的を超えることなく」、そして私たち国民の思い「戦争に巻き込まれることなく」が基本であります。解釈次第で変わる法律では、全てその枠内に入り、きりがなく歯止めが利かなくなることは明らかであります。
 これまでの曖昧さが国民の不安であり、国際社会でもさまざまな問題となることが多くなっています。
 このため、「戦争をしない」ということを明確にし、また、明確な法的な「歯止め」をかけるなど、国民の不安の解消に努め、自衛の範囲、程度、活動状況など十分に議論を尽くしていただきたい。そして、国民に問い、基本的な憲法から改正する手続きを経るべきであります。
 A違憲
 自衛隊の武力行使を際限なく広げ、「専守防衛」の概念を根元から覆すことになる。武器を使用すれば、その場は交戦状態となり、憲法9条第1項違反の「武力行使」となることは、避けようがありません。
 70年にわたって積み重ねられ、歴代の内閣が憲法上できないとしてきた「集団的自衛権の行使」を一内閣の憲法解釈の変更で限定的に可能にしようとすることがあってはならないと考えます。
 国民皆の思いである二度と戦争をしないという、「平和の理念」を変えることがあってはなりません。
 B疑問が膨らんだ
 新しい法案1本と改正法案10本で、大きな柱にまとめると「日本の平和と安全」と「国際社会の平和と安全」を目的にしたもので、その内容は、自衛隊が、どういう状況で、どのような活動をするか、外国軍隊への後方支援を拡大する内容など「自衛の範囲・程度」に関わることと、「国際貢献」に関することとに分かれていると思いますが、法案の中身が幅広く、複雑なものであり、答弁も同じことの繰り返しとなり、具体性に欠け、議論の内容が分かりにくい上に、質問と答弁が平行であり、結論となっていない。
 最後は「政府が総合的に判断する」という答弁が目立っていますが、国民は法律上の規定や解釈が変わらないで安心した生活ができることを望んでおり、明確でなく灰色のままで議論が進んでいる。法案の中身を丁寧に審議し、多くの国民が納得しない中、結論を急ぐべきでない。

中土佐町長 池田洋光氏
 @――
 A――
 B――
 この度のご質問は単純に賛否を問うものとなっておりますが、首長としての見解は必ずしも個人の見解と一致しないところに回答の難しさがあります。
 申すまでもなく、現代社会において金融、経済、国防、どれをとってみても一国だけで解決することは不可能です。各政党は、国政の場において党利党略ではなく、国際社会における一国家としての日本の国益を踏まえた議論をしっかりしていただきたいと思います。そして、現行憲法のままでは日本の将来が危ういということであれば、国会議員は選挙において自らの考え方を示し、国民の審判を仰いだ上で、国政の場において方向を決定すべきだと思います。

四万十町長 中尾博憲氏
 @反対
 現時点(今国会)での議決は反対。世論、憲法学者らの見解、意見を基に判断した結果、国民の理解を得られているとは考えられない。
 A違憲
 憲法9条に抵触していると思う。集団的自衛権の行使は違憲である。行使は憲法改正が必要であり、解釈の変更による進め方は理解できない。
 B疑問が膨らんだ
 審議過程で、法案そのものについてもそうだが、それを強硬に進める政府に対して、小さいながらも行政を担当する者として、民意を代表する者として、政治(安保法案)の進め方として、異議を申し上げたい。立憲主義を基本として進めなければならない立場にありながら、審議内容を見てみると、政治権力の専制化や政治の恣意(しい)的支配を感ずるものです。

黒潮町長 大西勝也氏
 @反対
 憲法改正によって行うべき。
 A――
 違憲か合憲かは最高裁判断に委ねる。これまでの歴代内閣の見解、積み上げてきた議論には反すると思う。
 B納得点が増えた
 国会審議を通じて多くの情報が提供されたことにより、必要性は納得できた。

四万十市長 中平正宏氏
 @賛成
 戦後70年が経過し、わが国を取り巻く国際環境が大きく変化していく中、安全保障関連法案成立には賛成だが、時間がかかっても国民に十分な説明を行い、幅広い支持が得られることが重要だと思う。
 A合憲
 現時点で法案は憲法違反ではないと考えているが、違憲という見解を持った憲法学者がいることも事実。今後、国会での議論および国民の合意形成の状況なども注視したい。最終的には司法の判断に委ねるべきであると思う。
 B納得点が増えた
 近年、大きく変化しつつある国際情勢における日本の状況から、わが国を防衛する上で、関係諸外国との連携の必要性と、万全の備えをすることの重要性を、国会審議を通じ一定理解できた。

三原村長 田野正利氏
 @賛成
 近年、国際情勢の不安定化、特にわが国を取り巻く周辺国からの圧力などが顕著になってきている今、この法律は必要と思うが、時間がかかっても国民に十分な説明を行い、幅広い支持が得られることが必要。
 A――
 憲法の範囲内とは言い切れないと思うが、拡大解釈の上に成り立っていると推測される以上、憲法違反かどうかは明確に判断できない。
 B納得点が増えた
 いろいろな情報を通じてさまざまな角度からの議論もあり、それぞれの立場の方々の意見を聞くことができたという観点で納得できる点が増えた。

土佐清水市長 泥谷光信氏
 @反対
 現在の国際情勢や日本を取り巻く安全保障環境を考えるとき、集団的自衛権の限定的な行使をやむを得ないと認識しているが、丁寧な説明と十分な審議で広く国民の納得と国際理解を得るべきものと考えており、現時点における安全保障関連法案の成立には反対である。
 A――
 多くの憲法学者により違憲との見解もあることから十分な議論を重ね、正式な憲法改正の手続きを行うべきものと考える。
 B――
 安全保障法制整備に関わる防衛施策については、国の専権事項であるが、広く国民の民意を反映させていくことが大切であると考える。国会では議論を尽くして国民合意の上で決めるべきであり、その動向に注視していきたい。

宿毛市長 沖本年男氏
 @反対
 憲法違反である。
 A違憲
 憲法9条により集団的自衛権の行使は許されない。歴代の内閣法制局長官も認めていなかった。
 B疑問が膨らんだ
 首相補佐官の「法的安定性は関係ない」との発言は、安倍首相の目指している方向がより危険な方向だと強く感じてきた。

大月町長 岡田順一氏
 @――
 島国の日本を取り巻く国際情勢は大変厳しい状況にある。果たして日本だけが一国平和主義でいいのか疑問に感じる。自衛の目的に限り安全保障の法整備は必要。まだ国会審議が継続中であり、今後の審議を見守りたい。
 A――
 憲法学者の参考人質疑で3人の学者が「違憲」と言ってから一気に違憲の声が沸騰してきたように思う。学者の意見は意見として真摯(しんし)に受け止め、この点も国会審議を見守り、政府の判断を見守りたい。
 B疑問が膨らんだ
 まだ十分に納得できる状況でもなく、疑問が膨らんだ。今後の審議で、国民に分かりやすく、丁寧に説明を求めたいし、与野党ともに集中した中身のある具体的な質疑をお願いしたい。

 【写真】参院平和安全法制特別委員会で答弁する安倍晋三首相と、安全保障関連法案に反対する集会で国会前を埋め尽くす群衆のコラージュ

 


 

 

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