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15年7月17日付・朝刊

「民主主義じゃない」 

安保法案衆院通過に県内の保守系も反発

国会前に押し寄せたデモの人波

 もう、何を訴えても通じないのか―。歴代政権が「できない」としてきた集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案が、16日の衆院本会議で可決された。一内閣の判断で憲法解釈を変えたことに加え、前日の委員会採決に続いて繰り返された「数の論理」。高知県内では与党を支持してきた人たちからも疑問や怒りの声が上がり始めた。

 高知県内6月議会では16日までに、法案の廃案や撤回、慎重審議を求める意見書を11市町村が可決している。意見書に賛成した議員の中には、いわゆる保守系の人もいる。

 田野町議の公文正昭さん(73)は自民党籍を持つ。父の学さんをニューギニアの戦闘で亡くし、田野町遺族会の会長も務める。先月、法案の制定中止を求める意見書に賛成した。

 「このままだったら戦争の時代に戻るんじゃないかと。父の気持ちを踏みにじることはできない。多くの学者が『違憲』と言っているのになぜ突き進むのか理解できない。安倍政権は強引すぎる」

 芸西村議会は6月、廃案を求める意見書を可決した。賛成した芸西村議の小松敏子さん(70)も自民党員で、これまでの国政選挙では自民党候補を応援してきた一人だ。「ずっと信頼してきたのに、今の政権は独裁的で裏切られた思いがする。『平和のため、国民を守るため』と言うけど、逆に見える。多くの国民が反対する中で、都合のいい論理を繰り返し、時間をやり過ごしたと感じる」

 土佐清水市議会でも従来と違う動きがあった。

 安保法制の制定中止を求める意見書が否決された際、自民党員の岡本詠さん(42)は賛成に回った。「戦争経験者の教訓を全く生かさず、国民とかけ離れた方向だ。これでも突き進むのは、もはや民主主義じゃない」と言い切る。

 国政で自民党と連立を組む公明党の支持層からも疑問の声が出ている。

 高知県中部で店を営む70代男性は、公明党の「中道政策」を支持し投票してきた。米国との同盟強化や集団的自衛権の限定行使に反対ではないが、「それには憲法改正が必要」との立場。「平和を掲げる党として存在感が薄い。自民に追随するだけなら連立の意味はないのでは」と疑問を投げ掛けた。

 高知県西部の70代の自営業男性は半世紀以上の公明党支持者ながら、国政レベルでの公明党の姿勢に反発し、「この法制は日本に危険を招く」と言う。「平和こそ国家の礎。その思いで公明党の平和主義を支持してきた。与党として巻き込まれ残念です」

 高知市内では16日、この日に衆院本会議で安保法案が採決されるとの想定から多くの市民団体が抗議集会などを予定していた。しかし台風11号の接近で、相次いで中止になった。

 一方、東京の国会議事堂前では、法案が可決された午後2時すぎ、高知市の主婦、竹田昭子さん(58)が雨の中で傘を差して座り込んでいた。

 先月、高知市で開かれた衆院憲法審査会の地方公聴会で、法案への反対意見を述べた陳述人の一人だ。所用で東京都内にいて、ニュースを聞いてたまらず議事堂に足を運んだという。

 「これだけ多くの国民が反対しても、首相は自分のやりたいようにやるだけ。腹が立って腹が立って…。もう何ともならないのでしょうか?」

【写真】安保関連法案が衆院を通過し、国会前で抗議する人たちの手によって掲げられるプラカード(16日午後)


 

 

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