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15年7月9日付・朝刊

安保法案 国民の意思問え

元自民党幹事長の古賀誠氏 安全保障関連法案へ危機感

先の戦争 政治の貧困が暴走許した

古賀誠氏

70年談話「侵略」文言入れよ

 自民党の要職を歴任した人たちが、安全保障関連法案への危機感を強めている。先月12日には、元副総裁の山崎拓氏や元政調会長の亀井静香氏らが東京都内で会見し、安倍政権を厳しく批判した。元幹事長で政界を引退した古賀誠氏(74)もそうした一人。高知新聞のインタビューに古賀氏は「解釈の変更で憲法に穴一つあけたら、いっぺんに広がっていく。許せるわけがない」と強調した。

 古賀氏は2002年から10年間、日本遺族会の会長を務めた。父は1944(昭和19)年、フィリピンのレイテ島で戦死している。

 「父がいない家庭は生活も苦しい。おふくろは行商に出て、帰ってきて夕ご飯の支度して、それが済んだらまた夜なべ。いつ寝てるんだろうか、と」

 自身は還暦を迎えて初めてその島を訪ね、考えたという。

 「なぜ戦争を止めることができなかったのか。負けることが分かっていて、なぜ続けたのか。昭和19年というと後方支援はゼロ。食糧も弾薬もない。ここで死んでいけ、と言われてるのと同じですよ。軍部の独走が戦争の原因であっても、それを許したのは政治の貧困だ、と」

 靖国神社に合祀(ごうし)されているA級戦犯を合祀から外せ、とも主張している。

 「あの戦争で300万人(の日本人)が亡くなって、国土が焼け野原になった。なのに誰も責任を取っていない。行き過ぎた暴走だったと、首相が明らかにすべきです。それで初めて国内で戦争の決着がつく。世界の国々の信頼を回復する一歩だと思います」

 日中、日韓の間には歴史認識に大きな違いがある。安倍首相は来月、戦後70年談話を発表する考えだ。

 「『侵略』(の言葉)は入れるべきだ。その上で反省がないといけない。中国の国土で、中国の主権を日本は武力で奪ったわけです。侵略の定義が定かではないと言う人がいますが、そんなこと通用しない。国際社会で(定義がないと)発言してごらん、って。武力で主権を奪うのは、侵略そのものですよ」

 古賀氏は自民党ハト派の宏池会を率いた。

 「仮に(米国が)押し付けた憲法であっても70年間平和を維持してきた。この平和主義を貫くことこそ、(安倍晋三首相の主張とは違う本当の)積極的平和主義ですよ。(戦争放棄を定めた)9条1項は世界遺産だと思う。絶対に守るべきです。戦争で多くの国々に被害を与えたんですから。この事実は決して忘れちゃいけない」

 「今の安全保障の議論では、自衛隊が海外に出ていい、となっている。米国と地球の裏側まで行けるようになるとか、どんどん拡大している。こんなこと、許せるわけがない」

 「(安保法案が成立すれば)戦争に参加できる国になる。戦いに参加すればリスクが伴う。それこそ国民の意思を問わないといけない。(閣議決定による解釈変更ではなく)国民投票による憲法改正が政治の王道です」

 安倍政権になって与党内で異論が出なくなった。それどころか、異論を封じる動きも際立ってきた。

 「政治の貧困です。(日本の平和主義を捨てるような)こんな議論なんか、与党の中でもいろんな議論があってしかるべきですよ。それがない。与党の責任を果たしていない」

 「憲法9条があって日本は平和主義を貫いてこれた。国際社会の平和と安全の構築に貢献し、世界の国々がそれを認めてきた。政治家には、この歴史をしっかり勉強してもらわないといけません」

【写真】「軍部の暴走を許したのは政治の貧困。今まさにそういう状況だ」と話す自民党の古賀誠元幹事長(東京都千代田区の砂防会館)


 

 

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