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15年5月27日付・朝刊

安保法案審議入り

中谷氏“硬直答弁”目立つ 安保法案へ国民理解は深まるか

具体例示す議論必要

説明に立つ中谷元・防衛相

 安全保障関連法案の国会審議が始まり、27日から特別委員会で本格議論に入る。「分かりやすい説明で国民の理解を求めたい」。担当閣僚の中谷元・防衛相=高知一区選出=は論戦に臨む決意をそう語るが、これまでの国会質疑や記者会見では、答弁書の文面を繰り返す場面が目立つ。中谷氏が言う「丁寧な説明」とは裏腹に、“硬直化”した答弁は具体性に乏しく、質疑がかみ合わないことも多い。

 「(論理を)分かりやすく説明してもらいたいが、聞けば聞くほど話がぐるぐる回る。理解しづらい」

 4月の参院外交防衛委員会。集団的自衛権の行使に関し、中谷氏への質問に立った野党議員があきれたように言い放った。

 4回、5回と続く追及に中谷氏は「あらゆる事態に切れ目のない対応ができる構えをすれば、紛争の発生やテロのリスクが一層なくなっていく」…。具体性に乏しい答えを続けた。

■先制攻撃は?

 政府は2014年7月、集団的自衛権の行使容認など、安保法制の見直しを閣議決定。中谷氏は、関連法案の準備が進む2014年12月末、突然辞任した前防衛相の後任に抜てきされた。

 中谷氏の答弁で目立つのが、「切れ目のない対応」「新3要件に該当すれば」のフレーズだ。

 新3要件は、日本へ直接攻撃がない場合でも、集団的自衛権の行使を可能にするため政府が定めた容認条件。日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合などとする。

 しかし、その想定例に対する中谷氏の説明は抽象的で、質問者から「分からない」と批判が相次ぐ。

 「日本と密接に関係する(アメリカなどの)他国が第三国に先制攻撃し、(反撃の)攻撃を受けた場合も(集団的自衛権行使の)条件を満たすのか」

 2月の参院予算委員会で民主党議員から問われた中谷氏は、質問の核心部分を避けるように「新3要件に該当する場合…」。

 再三の質問にも「先制攻撃」が集団的自衛権行使の判断にどう関わるのかには言及しないままだった。そうした姿勢は5月に法案が閣議決定されてからも続いている。

■“空中戦”

 火、金曜日の閣議後の定例記者会見でも、質疑は安保法案に集中してきた。

 22日の会見。

 「自衛隊員のリスクは増大しない」と繰り返す中谷氏に対し、報道陣からは「国民に分かりやすい説明をしたいと言うけど、分からない」と、いら立ち交じりの指摘が飛んだ。

 自衛隊の新たな活動例の提示を求める質問にも、中谷氏は、「事例は今後の予断になるので差し控えたい」とのスタンスを崩していない。

 高知新聞社の取材に中谷氏は「事例を挙げても、それをやるかどうかは、その時の背景や社会情勢などで判断される」と説明した。「あらゆる事態への対応」の観点から、一つの事例が独り歩きして法案全体の是非が評価されるのを避けたい―との考えからだ。

 安倍晋三首相との答弁の整合性が野党などの追及材料にもなるため、政府の統一見解の範囲内にならざるを得ない制約もある。

 このまま中谷氏が政治信条とする「対話」とは懸け離れた“空中戦”のような議論が続けば、「存立危機事態」「重要影響事態」といった難解な概念が登場する法案の理解は簡単には深まりそうにない。

【写真】衆院本会議で安全保障関連法案の趣旨説明に立つ中谷元・防衛相(26日午後)


 
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