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社長からのメッセージ

入社を目指すみなさんへ

代表取締役社長  宮田 速雄

 ネット全盛の時代です。「ニュースは携帯、PCで見る」という人が増えています。そして、「新聞はいらない。新聞の時代は終わった」という人もいます。

 果たして、そうでしょうか。ネット上にあふれているニュース、情報の多くはどこから来ているのでしょう。グーグルやヤフーには自らニュースを取ってくる力はありません。きちんと裏付け取材をした上質のニュース、情報を集められるのは取材のネットワークを持っている新聞社、通信社、テレビ局です。これらがニュース提供の蛇口を一斉に閉めれば、ネット上からニュースはほとんど消えるのです。

 さらに言えば、ネット上の情報は玉石混淆です。提供されるニュースにしても断片にしか過ぎません。何かが起きたことは、それである程度は分かるでしょう。しかし、なぜ起きたのか、その背景には何があるのか、今後どう展開するのか、識者や関係者はどう考えているのか…等々。一つの出来事からさまざまな思考をもたらすのは印刷された紙の新聞ではないでしょうか。同じ活字でも画面では「見ている」のであって「読んでいる」のではないと思っています。だから新聞が終わることは絶対にないと確信しています。

◇記者は「公僕的存在」◇

 自由民権運動の系譜を受け継ぐ高知新聞は1904(明治37)年に創刊されました。今年で107年目に入りました。この長い歴史の中で一貫しているのは、「地域に密着し、県民とともに歩む」、もう一つは「是々非々の立場で権力をチェックする」という姿勢です。

 高知新聞社は、新聞界の最高の栄誉である新聞協会賞を4回受賞しています。「ながい坂―老人問題を考える」「NIE運動に先駆ける『こども高知新聞』の成果」「闇融資問題の調査報道と連載企画『黒い陽炎―県闇融資究明の記録―』」「郷土の命 見守り続け〜『赤ちゃん会』80回の実践」の4件です。

 このうち県闇融資問題の調査報道は、端緒をつかんでから3年かけて裏付け取材を続け、県が特定団体に多額の予算を流用していたことを暴きました。本紙の報道から県議会に百条委員会が設置されて高知県警、高知地検が動き、元副知事ら県幹部が逮捕、起訴される事件に発展。全国の自治体に警鐘を鳴らしました。

 この後も調査報道は続いています。全国各地で発覚した警察の捜査費裏金問題も先駆けたのは高知新聞です。警察からはさまざまな嫌がらせや高知新聞の不買運動も受けましたが、追及の手は緩めず「本物のジャーナリズム精神が息づいている」という評価を受けました。

 これらの調査報道の根底にあるのは、「記者が取材で知り得た情報は記者のものでも新聞社のものでもない。読者のものだ」「権力の不正を知って書かなければ、不正に加担したのと同じ」という考えがあるからです。

 私は常々、「記者は公僕」と言ってきました。今や死語となりつつある言葉で「何をおおげさな」と思うかもしれません。しかし、記者が誰にでも会うことができ、取材ができるのはバックに多くの県民読者がいるからこそでしょう。取材相手は記者の後ろにいる県民読者を意識しているのです。つまり、記者は県民読者を代表して取材し、県民読者に情報を還元するという形で奉仕する公僕的存在だと思うのです。

◇人生をかけるに値する◇

 高知新聞社の社風は「自由」だと中にいて感じます。規律と責任を保持したうえでの自由です。社内では常に自由闊達な論議がされています。肩書とか上下関係だけでものを言うことはあまりありません。あるいは、何か大きな出来事があると、上が指示する前に自然発生的に各部を横断して取材チームができることがよくあります。部ごとの垣根が大変低いのです。それも日ごろから立場や肩書を超えて意思疎通を図っているからでしょう。

 どのような時代になろうとも、新聞記者は人生をかけるのに値する仕事だと思います。ただし、記者という仕事に誇りと覚悟を持った人ならば、という条件が付きます。若い人の挑戦を期待します。

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