四国4新聞社共同企画
◆36 丁寧にうま味引き出す 伊吹イリコのだしパック 山下海産(香川県観音寺市)
良質なだしが取れるとして名高い観音寺市伊吹島産のイリコ。そのうま味をさらに引き出すために手間と工夫を加え、料理家の辰巳芳子さんがプロデュースしたのが、いりこだしパックの「辰巳式いりこだし 潮の宝」。1887年の創業当時からイリコを取り扱う山下海産(観音寺市、山下公一社長)が製造を手掛ける。
潮の宝の製造方法は、辰巳さんが長年提唱している作り方を踏襲している。辰巳さんの料理教室や料理本では紹介されていたが、潮の宝の発売まで製品として流通していなかった。
製品化のきっかけは、同社が厳しい経営に直面していた07年末。約10年前から辰巳さんが同社からイリコを取り寄せていた縁で、山下社長が手紙を送り、製品開発を進める話がまとまった。
この開発を契機に、同社は卸売りから製造加工に業態を変更。創業120年を過ぎて、新たな挑戦を始めた。
潮の宝の特徴は丁寧な下ごしらえにある。まず網などで傷ついていない貴重な「銀付」と呼ばれるイリコを頭と胴に分け、生臭さを消すために頭からえら、胴から内臓を手作業で丁寧に取り除く。次は香ばしさを出すための焙煎(ばいせん)の工程。胴と頭は火の通る時間が異なるため、別々に煎(い)る。最後に高知産の干しシイタケを加えて、ミキサーで粉末にして出来上がる。
その中で気を抜けないのが焙煎の作業。季節によって火の通り具合が異なり、「水分と油分の両方を飛ばさなければならないが、焦げてしまうと本来の味を損ねてしまうので目が離せない」(山下社長)。試作を重ね、08年5月に発売にこぎつけた。
「食べ物は必ず命と呼応するものでなければならない」と、食に対する信念を持つ辰巳さん。潮の宝については「多くの人に勧めてきた伊吹島のイリコをどこまでおいしく食すかが命題だったが、類のない仕上がりとなった」と、信念が具現化した手応えを話す。
山下海産では現在、ほかにも商品開発が進行中。山下社長は「潮の宝でビジネスチャンスが広がった。今後も良質な商品を提供し、日本料理に欠かせないだしの良さを見直してもらいたい」と意気込んでいる。
【写真】丁寧な下ごしらえで作られる「辰巳式いりこだし 潮の宝」
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「潮の宝」は10グラムの8パック入りで1260円(税込み)。購入は辰巳芳子オフィシャルサイト〈 http://monika.co.jp/〉から。山下海産では、銀付イリコを使用したカルシウムが豊富な「パリパリ焙煎いりこ」(40グラム)を525円(税込み)で販売。問い合わせは同社(0875・25・3165)。
(2010年4月25日付・朝刊)