
南海地震行動計画の意見公募 高知県障害者への周知不十分
南海地震に備え、高知県が行うべき取り組みを定める「高知県南海地震対策行動計画」のパブリックコメント(意見の公募)がこのほど締め切られ、約四十人が意見を寄せた。ただ、障害者からは「訴えたいことはあるのに、募集自体を知らなかった」という落胆の声も。災害時に真っ先に弱者となる人々の意見をどう反映するのか。高知県の情報提供の在り方が問われている。
意見公募は昨年十一月中旬から開始。締め切り一週間前の十二月十二日に、意見を寄せたのは四人だけだった。十五日には、こうした内容の記事が本紙に掲載され、その後三十人以上から意見が届いた。
その一人が、理学療法士で視覚障害一級の藤原義朗さん(48)=高知市上本宮町。高知県の障害者の防災支援マニュアル編集にも携わり、災害時の要援護者支援に対する強い思いや考えを持っていた。
だが、意見公募は知らず、本紙記事を見た知人の連絡で初めて知ったという。
藤原さんは普段、高知県の広報紙をパソコンで読み上げるソフトを使い県の情報を得ているが、今回は広報紙への掲載がなかった。
高知県の地震・防災課は、テレビなどで広報は行ったが、広報紙には掲載しなかった。その理由を「二カ月前に原稿を渡す必要がある。パブコメの期間が流動的で、スケジュールに余裕がなかった」と説明する。
高知県政情報課によると、パブコメの手続きに、県庁内の統一基準はなく、募集期間や周知の方法は、各課に一任されているという。
藤原さんは今回、要援護者の福祉避難所に対する考えなどを提案した。だが、「パブコメに限らず、全国レベルのニュースは入りやすいが、身近な暮らしの情報は入りにくい」と、高知県の情報提供の姿勢に苦言を呈する。
地震・防災課は、今回のパブコメの一件について「(障害者に)配慮した取り組みが、できていなかった」とし、全戸配布している南海地震対策の啓発用冊子の音訳、点字訳版の作成を計画し、二〇〇九年度の予算案に計上する方針だ。
今回寄せられた意見の中には、「避難訓練に参加しても、役場や消防の人が言っていることが分からない。訓練は耳がきこえる人だけのためか。障害者は県民じゃないのか」と怒りをぶつける聴覚障害の男性もいた。
健常者との情報格差に不満を募らせる障害者。「横の連携を密にして対応したい」とする高知県の丁寧な対応が求められている。
(2009年01月13日朝刊)