▼5 法制度 住民の“目”で変えよう
「文献調査後の住民投票で民意の反映が担保されれば、条例制定の必要はない」
町長は議場で再議を求める理由をこう述べた。安芸郡東洋町の高レベル放射性廃棄物最終処分施設問題。町民の直接請求を受けて町議会がいったん可決した放射性廃棄物拒否条例案は、再議の末に廃案へ。3月末、県議選告示前のことだ。
【写真説明】新しい住民代表を待つ県議会の本会議場
▼不平等
再議―。地方自治法176条に規定された「拒否権」とも言えるこの権限で、首長は議決に必要なハードルを出席議員の「過半数」から「3分の2以上」へと引き上げることができる。平成14年、高岡郡日高村の産業廃棄物処理施設設置の賛否を問う住民投票条例制定の動きも、同じケースをたどっている。
ともに直接選挙で選ばれる自治体の長と議会は、よく「車の両輪」に例えられる。再議権はときに議会側の「脱輪」もあると想定しての規定と言えるが、地方自治法は必ずしも両輪を対等な関係に置いていない。
例えば予算。首長は提案権を持つが、議会にはない。「議会を招集する暇がない」などの理由で議決なしにゴーサインを出せる専決処分権も、首長には与えられている。前輪駆動車でいえば、前輪が首長で、議会は後輪でしかない。
地方自治法は今年、施行60年を迎える。この節目に、議会側の権限を“補強”する法改正が行われた。
議長に臨時会招集の請求権を与え、専決処分はその適用要件をより明確化。議員1人が複数の常任委員会に所属できるようにもし、政策立案機能の強化も一定図られた。
議案審査や自治体業務を調査するのに、これまで政務調査費で対応していた学識経験者への調査依頼が、議決さえあれば別途公費で賄うことができるようになっている。
今回の法改正は、全国都道府県議長会などの強い要望で実現。同議長会などには、なお首長優位でバランスが取れていないとする声も根強いが、議会の権限強化を求める背景には議会をみやる厳しい住民のまなざしや、投票率低下に表れている有権者離れへの危機感がある。
▼名誉職?専門職?
今回の県議選に寄せて県民から本紙に届いた意見には、議員定数や議員報酬・政務調査費の多さに関する指摘や批判が目立った。が、定数や報酬の適当な範囲を考えるのに、議員を「名誉職」とみるか「専門職」とみるかで論議の仕方は違ってくる。
「定数は多くていいが低報酬で」というのなら「名誉職」で、イギリスがその好例。その逆が米国に顕著な「専門職型」。日本の議会は戦前はイギリス型だったが、戦後は米国型の「高報酬」の部分だけを取り入れたと指摘されている。
どちらのスタイルを志向するにしても、「民意を意識した議会」と「議会を意識した民意」がうまくかみ合わないと、議会の姿を形づくっている法制度は容易に変えられない。(「政治に訊け」取材班)=おわり
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