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与野逆転 '07高知 政治に訊け
9月28日付朝刊

 ▼14 県民参加 意識の追随遅くとも

「県政への県民参加促進条例」づくりのワークショップに参加した地域住民。県民の声はどこまで反映されるのか(2006年9月、香南市夜須町)  県庁を変える――。そのために橋本大二郎知事は、県職員の意識改革とともに「県民参加の県政」の実現へエネルギーの多くを費やしてきた。

 【写真「県政への県民参加促進条例」づくりのワークショップに参加した地域住民。県民の声はどこまで反映されるのか(2006年9月、香南市夜須町)

 ▼わずか21%

 「机に向かって書類を作り、それを国に上げ、市町村に下ろす。その流れの中に県民の生の声を聞く作業はなかった…」

 かつての県庁の仕事をそう振り返る職員は少なくない。そこで幅を利かせていたのは、中央省庁にも通じる「官」特有のエリート意識だった。

 「県職員は(政策づくりの)玄人で、県民は素人だという固定観念は見直すべきだ」。橋本知事はそう繰り返し、県民を県政に引き寄せる取り組みを重ねた。

 就任直後から自ら地域に出向き、住民の肉声を聞く「車座談義」を開催。政策の方向付けには審議会や検討委員会を多用した。「県民参加の予算づくり」も実践し、近年では公募委員が入った条例づくりや各種計画案などで県民の意見を募る「パブリックコメント」も定着した。

 県民と直結する手法は、ときに県議会から「頭越しだ」との批判も浴びたが、橋本知事は最後となった県議会九月定例会の所信表明でこう総括してみせた。

 「森林環境税、こども条例、NPOとの協働…。さまざまな分野で県民参加の手法を取り入れ、住民と行政との新しい関係の構築を目指してきた。その積み重ねによって県政の透明性が高まり、職員の意識改革にもつながった」

 一定の達成感を口にする橋本知事。だが、県民の受け止め方とは大きなずれがある。

 県が昨年度に実施した県民世論調査。県政に県民の声が「反映されている」と回答した人はわずか2・3%、「ある程度」と合わせてもその割合は21・6%にすぎなかった。

 ▼条例の行方

 橋本知事の肝いりで本年度中の制定を目指していた「県政への県民参加促進条例」は今、素案を手にするところまできている。「県の責務」「県民の役割」などをうたい込み、パブリックコメントや公聴会実施をルール化するのは、都道府県レベルでは初の試みだ。

 だが、それも成案化するかどうかは次の知事次第。条例を整えたとしても、運用する職員と県民自身がその重みを自覚しなければ、ただの文章でしかない。

 橋本知事の意気込み、職員の意識、県民の希求心はそれぞれに濃淡を見せる。その上に今は、雇用や社会保障面での苦境が県民からゆとりを奪い、自治の向上に不可欠な取り組みを阻もうとする。

 ただ、国と市町村の「中二階」にあって、もともと遠かった県と県民の距離を一定縮められたのは、「橋本大二郎」という強烈な個性を放った引率者の存在に負うところが大きい。

 「随分低いところから始めた、という意識はある。そう考えれば、間違いなく上に向かって進んでいる」

 橋本知事は県民参加の取り組みを山登りに例えた。その行程には小休止もあった。頂上はまだ分厚い霧に覆われ、視界に入ってこない。しかし、知事の単独行だった登山にも、少しずつだが同伴者は増えている。

 「主権在民」を追求する作業。そう言い換えられる「県民の手による県政づくり」は、新たなリーダーへと引き継がれる。

=おわり=

 

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