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07年2月17日付朝刊
レンタル移籍って?【下】 リーグで選手を“共有”
クラブにとっても、選手にとってもメリットの多いレンタル移籍だが、サッカー界全体の発展のためにも意味のある制度である。
日本ではプロの移籍と聞いて、マイナスイメージを持つ人は少なくない。それは、これまでプロ野球がつくり出した印象だろう。今でこそFA(フリーエージェント)権を使ったり、大リーグに挑むケースがあるが、多くの移籍にはやはり「戦力外」という否定的なイメージがつきまとう。だがサッカー界、特にレンタル移籍では、その種のマイナス感は少ない。
1993年に10チームでスタートしたJリーグは、2007年にはJ1、J2合わせて31チームに増えた。その一方で、超一流と認められる選手の数には限りがある。レンタル移籍によって、選手を一部のクラブが“飼い殺し”にすることなく、リーグ全体で“共有”する意識が大きい。
例えば昨年、長年所属したジュビロ磐田からセレッソ大阪(C大阪)にレンタル移籍した元日本代表の名波浩のように、トップ選手でも「レンタル」のおかげで、出場機会を求めて比較的容易に他チームに移ることができる。
ファン心理として、ずっとライバルチームにいた選手が、ある日突然、自分が応援するクラブに移籍してきたら違和感があるかもしれない。だが、Jのクラブの場合、地域密着を第一義に掲げ、個々の選手というよりも、チーム自体を応援するサポーターは多い。
「レンタル」はJリーグ内だけに限らない。小松塁(C大阪)を獲得した地域リーグのV・ファーレン長崎のように、将来のJ入りを視野にJFL(日本フットボールリーグ)入りを狙うチームは、全国に数多い。そんなチームにとって、J経験者はいまや欠かせない存在になっている。
地域リーグの南国高知FCで主将を務める寺尾拓は「Jリーガーがいれば、サッカー教室など地域貢献できるし、チームのレベルも上がる」と話す。実際に同じ四国リーグのカマタマーレ讃岐はJリーガーを獲得している。「今の南国高知では厳しいが、上(JFL以上)に行くという明確な方向性があるなら、手っ取り早い補強スタイル」(寺尾)。
レンタル選手に頼ってJ入りを狙うことについては賛否両論あるが、必要とされるクラブがあり、そこに移籍しやすい環境があることで、選手の「働き口」が増えるのは事実だ。
J1で出場機会が減った選手がJ2へ、さらに基本的にアマチュアのリーグであるJFLや地域リーグへ―。野球と違い、プロアマの垣根の低さも「レンタル」普及の要因だろう。高知大サッカー部の野地照樹監督は「最近は(レンタル移籍が)多すぎると感じることもあるが、選手にとってチャンスが広がるメリットは大きい」と分析する。J1、J2、JFL…と選手が循環することが、サッカー界の発展にもつながる。(大山泰志)
【写真説明】プロと、アマの交流も少なくない。写真はC大阪―カマタマーレ讃岐の練習試合から(春野球技場) |